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食中毒事故で「ずさんな管理」と指摘されないために、小規模食品製造施設(スーパーマーケット鮮魚・惣菜・精肉売場や飲食店)といえども知っておくべき公的な“マニュアル”「大量調理施設衛生管理マニュアル(厚労省)」


 食彩品館.jpが「商業施設を訪問して美味しい商品や楽しい売場を発見する」というテーマで活動しだしたのは2006年。その前は仕事で時折、優良店・話題店を視察したりする程度。すわなち「見る・観る・視る」を会社の経費を使って、ある時はお取引様にご案内していただき、ある時は知人の紹介で視察をしてきました。
そういった大名視察から個人的な趣味に変わったことで気付いたのは「自腹で買物して自分で使うことが肝要」ということ。
自分で使うつもりで自分のサイフからお金を出して買物しないと、その店が何をしたいのか、何を重要視しているのかを気付くことは難しいと思い始めたのです。なんとなく頭で理解していても、それは過去の体験や本で勉強・研究したことを通して「わかったつもりになっている」ことに気付いたのです。
これに気付かせてもらったのは「MDラリー」という、他店と自店の販売商品を実際に食べて・使って徹底比較する手法を教えてもらったO氏でした。

 そういった商品特性や売場管理についてだけでなく、スーパーマーケット等商業施設を訪問して気付いたのは「食品衛生や安全衛生」について不適切と思われるような現場でした。
高質店を標榜するスーパーでオープンな売場内作業場で弁当を素手で作成しているのを見たり、あるいは売場の通路で客の注文に応じて寿司を握りたて販売したり、ダクトの設置されていない売場内調理場で揚げ物を揚げたりするのを見てかなりショックを受けました。調理場外、臨時作業場でのマグロ解体セールもそうでした。
また、冷凍食品を常温売場で放置販売したり、要冷蔵商品を常温突き出し販売したりするのも幾度となく見ました。
表示方法についても「無農薬」とか「完全」「(販売実態のない)定価の半額」「オリンピック商標使用」「過大な表現」等、気になる掲示物もありました。
そういう意見を書くと「保健所に通報する方が先」「店で直接、注意しろ」「公的機関へ」という注文が入るのですが、幾度となく気になることは指摘というか食彩品館.jpで覚書として記録してきました。
 その中には「牛の内臓肉の“生食”表示」「鶏肉のタタキ等加熱不足調理」等、今となってはスーパーマーケットの売場から消えた事例もあります。
ここ数日来、世間を騒がせている「惣菜バイキング」の事例もそうなんですが、雑な衛生管理、例えば非加熱食材の作業時の手袋交換方法や原料食材の取扱い方法、作業場内の整理・整頓・清潔・清掃の状況等、わざわざ客に見せるような作業場ではないと思うようなケースもありました。

 今回のポテトサラダの事故で一番、驚いたのが、市(保健所)から「ずさんな管理」という指摘をスーパーマーケットの惣菜会社が受けたことでした。
おそらく、センター等の大量調理施設を持たない規模のスーパーマーケットの担当者や詳しい衛生教育を受けていない人々はほとんど知らないだろうかと思うのですが、食中毒事故で「ずさんな管理」と指摘されないために、小規模飲食店やスーパーマーケットの惣菜作業場には適用されないが、知っておくべき基本的な食品衛生を高度に担保する公的な基準の管理方法として「大量調理施設衛生管理マニュアル(厚労省)」があります。
できるできないはともかく、事が起こった時にはこの内容で保健所がチェックします(たぶん)。そしてこう言われます。
「(できていない)ココが問題で事故が発生したと断定」

□ 「大量調理施設衛生管理マニュアル(厚労省)
同一メニューを1回300食以上又は1日750食以上を提供する調理施設に適用されます。ちなみに学校給食施設はもっと厳しい管理マニュアルがありますが今回は割愛。
・2017年6月16日改正版

 大量調理施設マニュアルをしっかり読んでもなかなか理解することは難しいのですが、目的を列記すると

▼同一メニューを1回300食以上又は1日750食以上を提供する調理施設に適用
① 原材料受入れ及び下処理段階における管理を徹底すること。
② 加熱調理食品については、中心部まで十分加熱し、食中毒菌等(ウイルスを含む。以下同じ。)を死滅させること。
③ 加熱調理後の食品及び非加熱調理食品の二次汚染防止を徹底すること。
④ 食中毒菌が付着した場合に菌の増殖を防ぐため、原材料及び調理後の食品の温度管理を徹底すること。

 というようになっています。
内容を簡単に列記すると、

「原材料の入荷の記録(日時・状態)」
「適正保管管理(原材料別保管と温度記録)」
「調理器具の使い分けと洗浄殺菌の記録」
「調理中の品温管理と記録」
「調理後の温度管理と記録」
「調理後食品の移送と温度管理記録」
「検食の保管」
「調理場の衛生管理」
「作業者の健康管理」
もし、事故があったらどこに問題があったかを発見できるように、こと細かに記録しておくことが求められています。
各企業は誰でも作業が安全に適切にできるように、さらに細分化して、わかりやすい言葉で作業マニュアル化しているわけですが、大量調理施設衛生管理マニュアル(厚労省)<以下、マニュアル>は料理の出来栄えよりも食品衛生を優先している(ような印象である)ため、調理の温度管理について小規模一般飲食店では「ちょっと無理っぽい」という内容も含まれます。
例えば、
「加熱調理食品は、別添2に従い、中心部温度計を用いるなどにより、中心部が75℃で1分間以上(二枚貝等ノロウイルス汚染のおそれのある食品の場合は85~90℃で90秒間以上)又はこれと同等以上まで加熱されていることを確認するとともに、温度と時間の記録を行うこと」(マニュアルⅡ-2)
となっていて、肉でいえば、中心温度が75℃に“到達”して1分間以上の加熱で調理するとレアやミディアムで仕上げることはできない(ように思う)。
某輸入牛肉協会や冷凍食品会社が「美味しい牛肉の焼き方」として推奨している「菌は肉の表面に付着しているため周りをしっかり焼けば大丈夫」という調理方法は大量調理施設ではできないということになります。
また、ノロウィルス対策として、牡蠣等の二枚貝(ホタテ、アサリ等)は中心温度が85℃~90℃に達してから90秒間以上の加熱が求められていて、実際に冷凍の牡蠣をフライにすると普通の調理方法では焦げてしまいます。焦げないように中心温度85℃~90℃に達してから90秒間以上の加熱をするのは調理側が自助努力で工夫しなくちゃいけないようです(実際に保健所の先生に点検時に確認した人からの聞き取りですが)。
ここでのポイントは「75℃で1分間」「85℃~90℃で90秒」は加熱する温度のことではなく、「中心温度」のことをいっています。すなわち、中心温度が規定温度に達したことを確認して、規定温度に達してから規定の時間を調理することが求められています。この部分、誤解している方が多いと思います。
さらに作業ロット毎に温度計測を記録しておくことも求められています。指定温度帯まで食品内部まで加熱しないとノロウィルス菌等が滅菌しないというのがその理由。
その他、かなり細かい作業まで規定されています。必読です。

 今回、「ずさんな管理」として惣菜販売店が指摘されたという報道を読んで驚いたのは、コトが起これば規模の大小に限らず、マニュアルの内容でチェックされてしまうということを知ったからです。

 つまるところ、事故を起こさないためには「安全衛生と食品衛生はすべてに優先する」ことが大事かと。さらにそれを高度に担保するために企業は工夫しなければいけないし、食を扱う以上、人の健康には十分に配慮する責任があると思っています。

 備考追記
・この件に関して過去記事同様に、食彩品館.jpが実際に保健所の先生から聞いたり、あるいは指導を受けた方の情報を元に2017年10月時点で作成記録しています。
また、記事の内容についてのご質問やご指摘は不要です。
内容については一般素人である食彩品館.jpが知りえた情報の範囲で記録しているため間違いや思い違いも多数あります。内容についての責任は持てませんのであしからずご了承願います。
よって、実際の事故対応や衛生管理についてはもよりの保健所にお問合せを願います。
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