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食中毒(疑い含む)に2回関係してしまった食彩品館.jpによる直近1年間の食中毒事故についての記事。2018年1月31日までに厚生労働省に報告された2017年1年間の食中毒事故1,012件、患者数16,506人を原因物質・食材等分を析する【その1 カンピロバクター編】

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食中毒(疑い含む)に2回関係してしまった食彩品館.jpによる直近1年間の食中毒事故についての記事。
 定期的に、と言っても年に1回あるかないかですが、食中毒事故に関する記事をアップしています。
2015/10/21食中毒2015年10月まで(厚生省データより)
2016/10/07食中毒事故2016年10月まで(厚生省データより)
今回は統計数値から。2017年1月から12月の1年間に厚生労働省に報告があった1,016件、発症者16,565人について。尚、集計数については計算間違いその他(報道数値との違い、集計方法、報告数等)もあるため、食彩品館.jpデータの参考引用・流用はお断りいたします。研究報告ではないのでその点、ご理解の上、下記をお読みください。
残念ながら事故を発生させてしまった飲食店の方には申し訳ないのですが、不幸な事故を再発させないためにも、しっかりと原因物質を確認して覚書として記録しておきたいと思います。

 

 まず、直近事故ではなく、自身の体験から。
<体験-1>
時期:1983年
飲食場所:ラーメン店
原因食:チャーシューメン
原因物質(推定):カンピロバクター
症状:猛烈な腹痛と下痢嘔吐。意識が朦朧として介抱してくれた母に言わせると「体が急に冷たくなってもうダメかと思った」程の症状でした。幸いなことに治療後2~3日で回復。推定ですが、前日に食したラーメンの豚チャーシューの一部が加熱不足で赤かった記憶があり、当時は真空調理なども出回っていなかったため、おそらく豚肉の加熱不足が原因と推測。もちろん過労で体力が弱っていたという自分の責任もあったため、以来、「肉の加熱不足(生焼け)やそれを連想させる真空調理肉の類は食べない」ことと「労働よりも健康を優先」を心がけてきました。
<体験-2>
時期:2006年
飲食場所:ホテル
原因食:ディナーあるいは朝食
原因物質:ノロウィルス(保健所見解)
症状:猛烈な腹痛と下痢嘔吐がほぼ3日間。発熱も伴う。その後、徐々に回復して約1週間で普段の体調に戻る。療養中に新聞報道で宿泊日にノロウィルス食中毒事故があったことを知る。ノロウィルスの怖さを痛感。
という苦しい体験を二度としたくないというのが食中毒事故にこだわる理由です。
 さて、2017年1月から12月までの厚生労働省に届けられた発生件数 1,016件について。
↓ 件数グラフ

まず、事故件数の第1位はカンピロバクターを原因とする事故で320件で全体の31%を占めます。

カンピロバクターの原因食として挙げられているのは「不明」が最も多いのですが、原因が判明しているものを見ると、①鶏肉の刺身あるいは霜降り肉、②鶏料理③鴨の生ハム、スモークとなっています。
特に①の中には「鶏のハツ、レバー、モモの刺身(愛知県で発生)」「未加熱または加熱不十分な鶏肉(レバー、ズリ、ハツ、ささみ、むね)(埼玉県で発生)」という内臓肉を刺身にするのかと驚いてしまう事例もありました。
このうち、食彩品館.jpが注目したのは発生した県ではなく、「事故が発生しなかった鹿児島県」です。
鶏肉については「鮮度が良いから大丈夫」とか「表面だけ加熱すれば大丈夫」とか思っている方も結構、いらっしゃるようです。
鶏肉のカンピロバクターの汚染については、「厚生労働科学研究食品安全確保研究事業食品製造の高度衛生管理に関する研究(平成14~16年度報告)によると、市販肉では鶏レバーは汚染率66%、砂肝67%、正肉100%という高い汚染率が報告されています。
また、同研究報告では食鳥処理施設での検査では定性試験・定量試験とも64%~67%と高い陽性率が報告されています。
尚、直近(平成26年度)の厚生労働省の報告では市販鶏肉のカンピロバクター汚染率は鶏モモ肉が42%(26検体)、鶏ムネ肉が40%(30検体)となっています。
(厚生労働省カンピロバクター食中毒予防についてQ&A)
要するに高い確率でカンピロバクターに汚染されているのが鶏肉というという前提の下、何故、鹿児島県ではカンピロバクター食中毒事故が2017年は発生していないのでしょうか。
鶏肉の生食文化といえば宮崎県と鹿児島県が有名ですが、残念ながら(?)2017年は宮崎県の飲食店で「鳥刺し(表示ママ)」を原因食とする食中毒事故が1件、飲食地不明での宮崎県での発生が1件と記録されています。
宮崎県は鶏肉の生食が盛んですが、「生食用食鳥肉の衛生対策」(2007年ガイドライン制定)があり、衛生管理に自治体が力を入れています。
鹿児島県では「生食用食鳥肉の衛生基準目標(ガイドライン)」を制定し、「菌が増殖する前に表面を焼く、あるいは湯で殺菌する」等の対策を推奨しています。

公益社団法人鹿児島県獣医師会食鳥肉衛生検査:鹿児島県)」によると、
~作業工程 の中で、「湯漬」 と「脱羽」は細菌汚染を引き起し易く、 抜けた羽の毛根部に湯漬湯が入り込むからです。また、「中抜き」工程 も、機械で行うため鳥のサイズが合わないと腸が破れ、細菌汚染を引起 すことがあります。 洗浄と冷却で次亜塩素酸ソーダ(次亜塩素酸ソーダが表面部の細菌を殺してしまいますが、毛根部に入り込んだ細菌までは殺せません。したがって、 鶏肉は食中毒菌(カンピロバクターやサルモネラ)に汚染されている可能性があります~

また、生食については以下のように禁じています。

~食中毒を防ぐためには、生肉を扱った包丁、マナイタ、手はきれいに洗浄・ 洗浄・ 消毒 する必要があります。また、生肉を決して食べず、十分加熱してください。 鹿児島県では「鳥刺し」が郷土料理となってい っていますが、「刺身」ではなく「タタキ」であ って、決して生で食べ ている訳ではありません。生産地であり、菌が増殖する前の新鮮な肉を表面を焼くかまたは沸騰水に通すことで殺菌してい るのです。したがって、カンピロバクターによる食中毒は鹿児島県でほとんど発生していません。「鳥刺し」を安全 に食べるには、鹿児島県に来てください~

と記されています。

 ただし、上記の公益社団法人鹿児島県獣医師会の記載の中の「生産地であり、菌が増殖する前の新鮮な肉を」の部分が気になりますね。鹿児島県は新鮮だから安全というようにも聞こえます。
ようするに「検査がしっかりされていて」「県がガイドラインを設けて」「飲食店も豊富な経験則と保健所の衛生指導に準じて管理している」というのが理由のようです。
いずれにしても「小さい頃食べていて、且つ、普段も食べているので鹿児島県民はカンピロバクターに免疫ができている(と思い込んでいる)」という理由ではなさそうですね。検体事例数をある程度揃えないと・・。

 全国ではどうでしょうか。厚生労働省が一般社団法人日本食鳥協会会長宛に出した「カンピロバクター食中毒対策の推進について(平成29年3月31日)」には以下のように記されています。
・カンピロバクター食中毒について(中略)、飲食店で提供された生又は加熱不十分な鶏肉(内臓を含む)を原因とする事件が多数を占めています。
・薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒部会にて、「飲食店営業者に対して鶏肉の客への提供にあたって加熱処理が必要である旨の情報伝達が重要
・厚生労働省から都道府県等の衛生主管部署責任者へは関係事業者への周知と指導の依頼。
・飲食店営業者が鶏肉を客に提供する際には過熱が必要であることを伝える
例)「加熱用」、「十分に加熱してお召し上がりください」、「生食用には使用いないでください」。
・飲食店で鶏肉の提供が原因と特定または推定されるカンピロバクター食中毒が発生した際には以下の指導を行なうこと。
①鶏肉に「加熱用」の表示が行なわれていない場合には食鳥処理業者、卸売業者に対して指導
②鶏肉に「加熱用」の表示が行なわれている場合には飲食営業者に対して指導と重点的な監視を行なう~

 最近、焼肉店でやたらと「しっかり加熱」という表示が目立つようになったのはこういった厚生労働省の指導があったからなんですね。

最後に、この「カンピロバクター食中毒対策の推進について(平成29年3月31日)」には「肉フェス」での大規模食中毒発生(患者数875名)についの概要紹介がされています。
<原因>
□鶏肉は加熱不十分な状態(簡単な湯通しのみ)で提供。調理マニュアル不在
□提供者のカンピロバクターのリスクに関する認識不足
<指導内容>
□十分に加熱(中心温度75℃以上で1分以上)すること
□取引先に対しても「加熱用」であることを改めて周知徹底すること。

他山の石とすべき事例かと思われます。

カンピロバクター編の最後は厚生労働省のtwitter紹介。
鶏肉は中心部まで、しっかり加熱して食中毒を防ごう。生・半生・加熱不足の鶏肉料理によるカンピロバクター食中毒が多発しています。新鮮だから安全ではありません

 【ノロウィルス編に続く

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