食彩品館.jp

【ノロウィルス編】厚生労働省に報告された2017年1年間の食中毒事故事例より

Pocket

◇関連記事
2018/03/16食中毒事故2017年【アニサキス・クドア編】(3/16公開)
2018/03/15食中毒事故2017年【ノロウィルス編】
2018/03/12食中毒事故2017年【カンピロバクター編】

====================

 2017年の食中毒事故は1,016件発生して、16,565人が発症したと厚生労働省に届けられました。

 前記事で発生件数の第1位原因物質は「カンピロバクター」で320件(全体の31%)を占めるという紹介をさせていただきました。

それでは発症患者数としてはどうかというと、16,506人のうち、ノロウィルスが51%を占めます。断トツの第1位原因物質です。

 ノロウィルスの発生件数は全体の21%なので、いかに発症患者数が多いかがわかりますね。
ノロウィルスで一番発症患者数が多かった2017年度の事件は東京都の学校給食で提供された「きざみのり」で1,084人(報道では1,098人)。次いで和歌山県の学校給食で提供された「磯和え」で763名(報道では804人)が発症しています。いずれも同一ロットのきざみのりを使用しての発症です。この事件は全国に波及していて、合計すると2,061人が発症しているということです。(愛知県資料)

 通常、ノロウィルスは2枚貝(牡蠣、アサリ、ホタテ等)の腸管に含まれているのですが、今回の原因は製造会社のトイレやのり裁断機からノロウィルスが検出(東京都検出と遺伝子が一致)されました。
東京都によると、食中毒事件における765事例を検査したところ、二枚貝(牡蠣、シジミ、ウチムラサキ)の関与が疑われた例が223件で、そのうちノロウィルスが検出されたのは13%の29件でした。二枚貝以外の関与食材542件のうち、ノロウィルスが検出されたのは0.9%の5件でした。(東京都HPくらしの健康より)
つまり、ノロウィルスによる食中毒事故は二枚貝を食べることによるものと、調理過程での食材汚染の両方があるわけです。
ところが、きざみのり原因事故は調理過程の前の段階で汚染されていたことがわかったのです。
これはどういうことかというと、ノロウィルス対策は、まずは二枚貝等はしっかり加熱(中心温度85℃~90℃で90秒)することと、調理過程での汚染を防ぐため調理者の健康管理手洗いの励行調理器具備品の消毒という調理場内の対策に主に焦点があてられていましたが、きざみのりのように、そのまま料理に使う食材が汚染されているとなると、調理事業者は対策できないことになり、取扱い商品の定期的な汚染検査等、さらなる対策を考える必要があるわけです。

 ところで、ノロウィルスはどこにいるのでしょうか。
前述の2枚貝を例に挙げると、東京都の汚染状況調査報告によると、406件の二枚貝のうち、8種類の貝からノロウスルスが検出されたということです。
1.シジミ(18.4%)、2.タイラ貝(16.7%)、3.ホタテ(13.8%)、4.カキ(10.5%)という順で検出されているのですが、意外なことにノロウィルス食中毒の原因になることが多かった牡蠣の順位が低い
これは、ノロウィルスが蓄積するのは貝の消化器官ということで、牡蠣以外の二枚貝はその消化器官を生食しないのが、食中毒原因食となりにくい理由です。牡蠣は消化器官ごと生食しますからね。ホタテやタイラ貝は貝柱のところだけを刺身にしますよね。それに牡蠣産地での管理レベルも高くなっていることも検出の少ない理由となっているようです。
もっとも、ホタテでも調理する時に消化器官をキズつけてしまい、貝柱を汚染してしまうことは予想されます。一番検出率の高いシジミは加熱調理をするからというのが食中毒事故の原因食となりにくい理由です。家庭でも原因食となりそうな食材は他の食材と別に管理したり、同じ調理器具や容器は使わない方が良いかも知れません。

 ちなみに、きざみのりの他にも過去には給食のパンでもノロウィルス食中事故があり、原因食から高い濃度のノロウィルスが検出されました。
経験則でいうと、発症後に検便をすると牡蠣の生食での感染はノロウィルス量が10の4乗から10の7乗と多い数値で検出されます。対して、人を介しての感染は10の2乗程度と少ない検出量になる傾向があります。
一度感染すると、人にもよりますが、10の4乗~で約2週間から1ケ月、10の2乗で1~2週間はノロウィルスが体に残っているという検出結果を知っています。最長では2ケ月程、菌がなくならなかったということもあったと聞きます。
ところが、ノロウィルスによる食中毒は症状が数日で回復するため、特に規則のない施設ではすぐに学校に戻ったり、会社に出勤したりしてしまいます。
これまた経験則ですが、抜き打ちのノロウィルス検査をすると発症していない健康保菌者が10%はいるのではないかということも言われています。
この健康保菌者が調理に従事して、手洗いをきちんと励行せずに盛付手袋なしで盛付なんかをすると・・・・。ああ怖い。
 ノロウィルス食中毒のような事例が疑われる場合でも食中毒と判断されないことがあるようです。
例えば、大量調理施設では「検食」といって提供食材を一定期間冷凍保存しておく決まりがあるのですが、そういった検食からも、調理従事者からも、そして施設からもノロウィルスが検出されず、施設の管理マニュアル、例えば健康管理(家族を含めて申告)や定期的な検便実施、消毒、保管方法等、適正と判断された場合です。
食中毒事故と判断されるのは「食」を介しての事故なので、人から人へ感染と判断されれば食中毒事故ではなく、ただの「感染症」となるわけですね。

 最後に。
ノロウィルスは結構長生きで、少ない量で感染します。一度、感染したらなかなか体内から無くなりません。
下痢嘔吐をして医者から「胃腸風邪」と診断されたらノロウィルス感染を疑いましょう。大手飲食チェーンではそういった場合は出勤停止、そして検便で陰性が確認されるまで自宅待機というルールを決めているところが多いようです。

【アニサキス・クドア編に続く】

===========================

◆食中毒関連記事
2018/03/16食中毒事故2017年【アニサキス・クドア編】
2018/03/14食中毒事故2017年【ノロウィルス編】
2018/03/12食中毒事故2017年【カンピロバクター編】
2017/10/10食中毒事故で「ずさんな管理」と指摘されないために
2017/09/04「自分の子供を食中毒事故から守るために私が心掛けてきたこと」
2016/10/07食中毒事故2016年10月まで(厚生省データより)
2015/12/18大口注文制限について(惣菜会社)
2015/10/21食中毒2015年10月まで(厚生省データより)
2014/10/22愛知県瀬戸市食中毒事故
2014/09/24 7月・8月の食品衛生事故
2011/05/02 我が家の焼き肉作法
2011/02/23 生食ブームに警鐘
*******************************
             
      

Pocket