1971年製造のSEIKO社グランドセイコー61GS スペシャルという機械式の古い時計を蘇らせる話(現在はグランドセイコーは分社)

  • URLをコピーしました!
目次

1971年製造SEIKO社グランドセイコー61GS スペシャル

 日常使用している機械式の腕時計を時計店にオーバーホールを依頼したのですが、戻ってくるまでに約1ケ月かかるという。
この15年程は今回、オーバーホールに出した自動巻の時計を常に愛用。そこで、修理に出している間に使う腕時計候補を久々に引っ張り出してきて、どれを使うか迷っていたのですが、ゴツいロレックスを会社でつけるのもなんとなく気がひけて、古いグランドセイコーを使うことにしました。

 手に取ると自動巻なので当然、動き出す。かなりの期間、使っていない上に、ワインディングマシーンで常に動かしておくなんていうこともしていないので、どの程度の狂いがあるのか不安。
ということで、オーバーホールする時計とグランドセイコーを持って時計店を訪店した次第。
時計店で簡単な動作チェックをしてもらうと、オーバーホール予定の時計はいろいろと問題のあるデータがでてきたが、グランドセイコーの方は「問題なし」という。
さすが国産時計の王者です。50年近く経過しても立派なモンですなということだが、実は、この時計、2年ほど前にオーバーホールしています。観賞用に購入したわけでもないのに、尚且つせっかくオーバーホールしたのに使わずにしまっておくという、時計マニアが聞いたら笑われそうなことをしてしまっています。ゴメンナサイ。
 久々に持つのだからということで、時計バンドも新調。レトロでデッドストック的な時計バンドもありましたが、ここはちょっと奮発して1万円近いイタリア製の伸縮バンドに付け替え。定価販売ながらベルト調整(この伸縮バンドの長さ調整は素人には手が負えない代物)もしていただけれるのが嬉しい。さすが老舗の時計店です。
でも、売場はシチズンに力を入れていてセイコーはそれほど置いてない様子・・・。
 今回の記事は時計店の話でもオーバーホールに出した時計の話でもなく、代替として引っ張り出してきたグランドセイコーの話です。

まずはいつものようにグランドセイコーの歴史から。

◇グランドセイコーの歴史

 ※印は機械式。画像はカタログその他より
※・1960年(昭和35年)初代グランドセイコー発売
 スイス・クロノメーター優秀規格と同一の社内検定合格品。25,000円

*******************************
※・1964年(昭和39年)GSセルフデーター
 カレンダー機能と50m防水追加 27,000円

******************************
※・1967年(昭和42年)44GS発売
 第二精工舎(現セイコーインスツル)製造
 5振動の手巻時計 24,000円

 **************************
※・1967年(昭和42年)62GS
  グランドセイコー初の自動巻モデル
 4時位置の竜頭が特長 35,000円~

 ***************************
※・1968年(昭和43年)61GS
  国産初の自動巻10振動モデル
  巻上げ方式はセイコー独自の
  マジックレバー方式を採用
 “HI-BEAT” 37,000円

  *******************************
※・1968年(昭和43年)45GS
  手巻10振動モデル
  日付つきモデルに瞬間日送り機構が搭載

*******************************

※・1968年(昭和43年)19GS
   女性用の小型、10振動、高精度ムーブメント


******************************
※・1969年(昭和44年)61GS V.F.A.
 精度月差±1分以内の自動巻
 「グランドセイコー特別調整品」
 SS 100,000円
 パラジウム合金 250,000円

  ******************************
※・1969年(昭和44年)45GS V.F.A.
 精度月差±1分以内の手巻
 「グランドセイコー特別調整品」


******************************
※・1970年(昭和45年)56GS
 薄型化(ムーブメント厚さ:4.5mm)


********************************
※・1970年(昭和45年)61GS スペシャル(所持品は1971年製)
 当時のGS規格よりもさらに厳しい精度基準を 課したグランドセイコースペシャル。自動巻・10振動の61GSをさらに 入念に仕上げたもので、精度・デザインともに セイコーの最高峰の高級腕時計として 発売された。 53,000円 

 ********************************

・1972年(昭和47年)19GS V.F.A.
 女性用機械式腕時計で月差±2分
*********************************
1988年(昭和63年)95GS
 年差±10秒クオーツ
*********************************
1989年(平成元年)8NGS
 10気圧防水
*********************************
1992年(平成4年)3FGS
 女性用クオーツ。年差±10秒
*******************************
1993年(平成5年)9F8
 「バックラッシュオートアジャスト機構」
 「ツインパルス制御モーター」
 「瞬間日送り機構」 
********************************
※・1998年(平成10年)9S5
  機械式グランドセイコー復活

 ********************************
※・2002年(平成14年)9S56 「GMT」
 時分秒針以外の「4本目の針」を搭載

********************************
2003年(平成15年)
 強化耐磁シリーズ
********************************
2004年(平成16年)9R6
 自動巻スプリングドライブ
********************************
2006年(平成18年)9S67
 最大巻上時約72時間(約3日間)
********************************
2007年(平成19年)9R8
 スプリングドライブ駆動の
 グランドセイコー初のクロノグラフ
********************************
・2009年(平成21年)9S8
 41年ぶり開発の自動巻
 10振動ムーブメント搭載
 550,000(税抜)
 600,000円(特別仕様:スペシャル:税抜)

 ********************************
※・2010年(平成22年)9S65
 9S5系モデルを3日間持続と精度向上

*********************************
※・2014年(平成26年)9S86
 10振動キャリバー「9S85」にGMT機能
*********************************
2016年(平成28年)
 スプリングドライブ搭載の
   ブラックセラミックス
*********************************
2016年(平成28年)
 スプリングドライブ8Days
 プラチナ950ケース
**********************************

 というようなグランドセイコーの歴史の中で、私の時計に関連するのは
※・1967年(昭和42年)62GS(初代自動巻)
※・1968年(昭和43年)61GS(2代目自動巻)
※・1969年(昭和44年)61GS V.F.A.(2代目特別調整)
※・1970年(昭和45年)61GS スペシャル(2代目精度向上)

 1967年初代の自動巻グランドセイコー発売の1年後に10振動ムーブメント搭載の61GSが発売されたのですが、これが巷で言うところのグランドセイコー自動巻2代目となります。

10振動とは機械式時計の心臓部である「てんぷ」が1秒間に10回振動をするということで、1時間に換算すると36,000回の振動となります。「てんぷ」が振り子のように振動することで、巻き上げたぜんまいの解放する速度を一定に保つことができます。振動数が多いほど安定するものの、逆に耐久性に不安があるのも事実。世間一般で高級時計といわれるメーカーでも6振動(21,6000振動/時)あるいは8振動(28,800振動/時)にして耐久性と精度の両立に配慮しています。
(高速振動を意味する「ハイビート」は8振動以上の振動数のことをいいます)

その2代目の精度を当時、極限まで高めたのが61GS V.F.A.。

 現在でも中古品で60万~80万程度と、かなり高額で取引されているV.F.A.ですが、当時も普通のサラリーマンでは手が出ないほど高額でした。
厚生労働省データによると1968年当時の大卒初任給が30,600円で、61GSの販売価格は37,000円、V.F.A.は10万円と25万円。とてもじゃないがおいそれと手が出せないということで、V.F.A程ではないが61GSの精度を高めて1970年に発売されたのが61GS スペシャルでした。それでも大卒初任給(1970年39,900円)よりもはるかに高い53,000円という価格設定なので、そうそう買える代物ではありませんでした。

 61GSの精度が-3秒~+6秒/日で、61GS スペシャルの精度は-3秒~+3秒/日

1960年代のセイコー社の市販品時計の実力は世界最高レベルだったのですが、1970年代のクォーツ時計の隆盛により、機械式時計はすっかり影を潜めることになるのですが、1980年代に入ってからの機械式時計復活流行により、機械式時計の良さが見直されました。
しかしながら、セイコー社の2代目以来の10振動36,000の新ムーブメントの開発は1968年から41年経過した2009年でした。(2009年に41年ぶりに復活開発された10振動機械式のグランドセイコーはレギュラータイプ55万円でスペシャルが60万円。大卒初任給の約3ケ月分弱)
わたしの所持しているのは最後の10振動ムーブメント搭載の61GS スペシャルです。
精度向上させた61GSスペシャルですが、中古市場では人気ないのかグランドセイコーの中古品としては割と低価格で販売されています。もちろん、個体差により販売価格は雲泥の差があるのですが。
1968年(昭和43年)61GS(2代目自動巻)との違いは前述の精度差の他、金色に輝くGSとSPECIALの文字。これも好き好きでない方がスッキリしますね。
肝心の精度は通常使用して20秒/日差程度なので、製造(1971年11月製造)から45年経過している機械式時計としては悪くない。とはいうものの、製造当時の-3秒~+3秒に戻すにはオーバーホール以外にもいろいろと部品交換等が必要かと思われます。ところが、セイコー社はシチズン社のようには古い部品を保持してくれていないので、元の精度に戻すのは専門の時計店に依頼するしかなく、かなり難しいかなと思います。もっとも、精度にこだわるのなら機械式ではない時計を持てば良いだけの話ですが、ね。スプリングドライブという手もあるし。
一応、当時と現在のグランドセイコーの精度比較を抜粋して一覧表に記しました。ロッレックス等で採用されているクロノメーター(ローレックスはクロノメーター検定協会が実施する精度基準をさらに上回る基準“SUPERLATIVE CHRONOMETER OFFICIALLY CERTIFIED”がありますが)と、新旧GS規格、およびそれぞれの特別調整品企画(スペシャル)の簡易比較表を作成しました。ご参考まで。(多くの規格の中から抜粋したものなので、この表の内容がすべてではありません)

  何故、私がこの時計を持っているのかという話はここではしません。時期がくれば紹介したいと思いますが、かなり先になることは間違いありません。

 楽器やエフェクター同様に、ジャパンヴィンテージは良いですね。やっぱり。
現在、オーバーホールに出している自動巻の時計が戻ってきてもしばらくは交代でこのセイコー61GS スペシャルを使いたいと思っています。
何が良いって、誰も見た目だけではその歴史とか数々の物語があることを分からない。腕時計に限らず、誰もが一目で認知できるブランド品よりも、持っている人だけが満足してその価値を理解できる工芸品レベルの商品が好き。 
(ここで、「ほぉ~。レスポールとかハミングバードを持っているクセにそんな生意気なことを言うか」と思われた方は、過去記事を読んでいただき、見た目以上の物語があることを知っていただきたいものです(笑))

2026年のグランドセイコー メカニカルウォッチ

=======================
◇ジャパンヴィンテージと日本の技の話
 (価値があるかどうかは人次第)

2014/01/31 中古の“グネコロゴ”グレコセミア

2014/06/26 スリーエス(名古屋鈴木バイオリン製造)のギター

2014/08/26BOSSの国産エフェクター(音楽夜話その1)

2014/08/28国産真空管ギターアンプの真空管交換

2015/03/09ヤイリギターK.Yairi(岐阜県可児市)工房見学

2016/09/09NEOPASA浜松(下)スズキMetal Minor5

2016/09/27グランドセイコー61GSスペシャル復活記

◇相反する記事

2014/10/01ギブソンハミングバードヒストリッ コレクショ 購入

2015/10/11ギブソン・レスポール・トラディショナルを購入

2016/08/25サイドル・ゾーン社10穴ダイアトシニックハープ谷口楽器

・★2017/05/11リッケンバッカー12弦を購入

2018/07/30ウクレレラボ(ホノルル)でKoAloha購入

===========================

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

  • URLをコピーしました!

食彩品館.jp最新記事

目次