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学校の教材・朝どりレタス

 野菜はフレーバーとフレッシュ感が大事です。これに「アロマ」を加える人もいますが、フレーパーにアロマも含まれるように思うんです。私は違いがよくわからないので、「フレーバー(食品の香り、味、食感など口に入れた時に生じる感覚をまとめて指す用語)」とだけ使っています。
 フレッシュ感はもぎたての鮮度感を演出すればいいのですが、フレーバーは演出できません。
採れ立てのフレーバーを維持するには
  1.収穫後、できるだけ早く食べる
  2.劣化をできるだけ抑える
のいずれか、もしくは両方をする必要があります。
  1.は自家農園を持っていないと普通の人は味わえません。
特に枝豆やとうもろこしなどは格段の美味しさがあります。科学的な説明をするのが主題ではないのでしませんが、とにかく、時間が勝負の野菜の代表です。
2.は言わずと知れた「コールドチェーン輸送」です。産地から売場まで野菜に適した温度(できれば湿度も)で輸送することにより、劣化を抑えられます。これも科学的な説明は割愛します(笑)
 さらに産地では「真空予冷」、売場では「蘇生」などの処理をしてフレーバーを維持する努力をします。
まあ、フレーバーを維持する努力というよりは劣化によるロスを抑える方が目的のようになっていますが。

 美味しい野菜を届ける為の努力を産地と小売が協力しあって実現したのが「朝どりレタス」でした。
もう15年くらい前だと思うんですが、2回目の商品部勤務の時に、この朝どりレタスの拡販にチャレンジしました。
 前の晩から産地に泊り込んで、朝の収穫から出荷、店舗への到着までをビデオに収めて売場で伝えたいと思ったのです。監督・演出・撮影は私が担当。主演は売場チーフです。
 真っ暗な畑の中で照明をつけての収穫風景。朝3時~4時。照明用の発電機の騒音の中でもくもくと収穫をする農家の方。その一人の女性にインタビュー形式で質問します。
   ・質問「大変ですね」回答「大変です」
   ・質問「何が一番大変ですか」回答「朝早く起きるのが大変です」
文章で見るとなんでもない質問と回答なんですが、これに真っ暗な畑の中での収穫映像が入ると、とっても臨場感がでていい感じなんです。
最後にお礼を言って撮影を終えようとすると、質問に答えてくれた女性が顔に巻いていた手拭をはずしてくれました。まだ10代の学生さんです。夏休みに実家の作業を手伝っているということでした。
畑からの帰り道、一緒に視察したチーフが私に「レタスを粗末に扱えませんね」。

  収穫されたレタスが農協の真空予冷施設に運び込まれ、バキュームクーラーで30分~40分冷却後、トラックで輸送。高速道路を使ってセンターへ配送、そして店舗へ到着。午後一番には店頭に当日の朝どりレタスが並びます。翌日販売する分は「朝どり」とは表示できないので、蘇生処理後、湿度の高い方の冷蔵庫に保管します。
  こういった一連の流れをビデオにまとめて売場で流していました。
そうしたら、ある日電話がかかってきて、「小学校の教材で使いたいが貸してくれますか?」と言われました。
なんと私の住んでいる学区の小学校。もちろんOKです。会社に一言ことわって先生にダビングしたビデオを渡しました。
 先生からのお礼の手紙に子供達の感想がかかれていました。
  「大変さがわかった
わかってくれて嬉しかった。それだけです。
 その小学校には数年後、私の子供がお世話になりました。

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当時の写真を引っ張り出してアップしようと思ったのですが、こちらのホームページに大変わかりやすい資料がありましたので紹介させていただきます。ただし、私の行った場所とは違いますので。念の為。

株式会社どんさんのホームページにあります
レタス産地訪問記