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サンフレッシュ東郷店(愛知県愛知郡)で大間の本マグロを購入し「鮮魚」は大事について語る

サンフレッシュ東郷店
愛知県愛知郡東郷町春木字前田3253-1
℡0561-38-5181
訪問日 2010/09/25
20100925

以前も書いたが、食彩賓館は若い頃、鮮魚売場にいた。年末になると鮮魚売場の1日の売上げが数千万円になる超繁盛店。その中で約半年ほど、毎日冷凍のキハダマグロブロックをサクに切り分ける作業を担当していた。まだ解けていない冷凍マグロをカットする作業は力がいる。一日作業すると、包丁を離そうとしても指が伸ばせない。今から思うと苛酷だったなあ。「生鮮三品」を体験・経験させるのが目的で超繁盛店に配属されて、朝から晩までしごかれていた。
こう教えられた。「現場で苦労していないヤツの言うことなんか誰も聞かないぞ」

生鮮三品を体験して思ったことは、鮮魚の担当を育てるのは時間がかかるということ。青果と精肉は熟練度はともかく、比較的短期間で作業は修得できるが、鮮魚は作業を修得するまでに相当時間がかかる。恐らく、1年2年では無理だ。さらに熟練となると途方もなく時間がかる。
それと生鮮三品は仕事に対するイメージが華やかではない。実際の作業も気の持ちようによっては楽しいのだが、入社したての学卒には耐えがたい単調な日々が待っている。
特に鮮魚は技術を養成するのに時間がかかるため、育った後も、他部門に回しにくい。よって部門担当者の時期が長い。新店を頻繁に出店する企業ではポストが多いので、フロアマネージャ、副店長、店長に配置転換されやすいが、新店の少ない企業ではずっと売場チーフとして勤務することもある。そういった技術職に誇りを持ち、さらに生きがいを感じている人もいるにはいる。だけど、スーパーの技術職はなかなか給料が上がらない。管理職待遇のチーフはいるが、役員待遇の鮮魚チーフなんて聞いたことない。
今でも思っているが、生鮮三品の技術者は給与面で優遇されるべきである。特に鮮魚は作業内容に対して、精肉は危険手当として。ということで、鮮魚については部門損益を見るだけではイカンと思っています。
私が社長なら熟練技能者は管理職手当よりも手当て(技能給)を多くする。それほど熟練者は貴重。大事にしないと。
多く店舗を回っていると、店舗間の一番の差は鮮魚の技術力だと気付く。なので、食彩賓館は鮮魚についての記事が多い。
「技」を持っていることによる「商品化」の差が歴然。これはチェーンストア化されつつある企業でもはっきりとわかる時がある。
全店の「技術力」を平均的に向上させることができないと感じたら、カネスエ社のようにセンター化することによる衛生面のレベルアップと技術力のバラツキ是正もアリだと思います。カネスエ社が上手いと思うのは、センター加工商品によるメリットをきちんと客に伝えていること。そしてセンター化のデメリットを割り切って鮮魚・精肉の品揃えをしていること。
鮮魚担当や精肉担当が売場に配置されているのと同じような品揃えをセンター加工で対応しようとするから無理がある。センター加工ならカネスエ社的割り切りが必要。(関連記事ヤマナカ生鮮センターについて)
これは余談でした。
 そのように鮮魚売場を大事にしている店を訪問するのは楽しい(手当て、教育等人事上の配慮は不明だが)。
 という長い前振りのあと、ようやく、サンフレッシュ東郷店の話に入る([E:happy01])
サンフレッシュの新豊明店については以前、記事にしたことがある。「タイムサービス連発で大繁盛」というローカルテレビでの紹介もあったほど、豊明周辺ではちょっとした有名店。
こちらの東郷店。外観を見れば、いわゆる「低価格強調型店舗」。でも品揃えは低価格商品の中にちょびっと高質店で品揃えするような商品もあったりする。
レイアウトは青果から最奥の鮮魚売場まで一方通行でジグザグに客を誘導するタイプの店。
価格は驚くほど安いものがあると思えば、それなりの価格と品質のものもある。買い手に品質の見極めを要求するタイプの店だが、品質の見極めはできそうにない若い夫婦も多い。とは言っても、駐車場にある車や、来店熟年者夫婦の服装・買物カゴを見る限り、低価格品購入だけが目的の客ばかりではない。
こういったジクザクレイアウトになる前にこの店に来ているが、こんな感じの品揃えではなかったと記憶する。
このサンフレッシュ東郷店で意外な商品を発見。
大間の本マグロ。
魚体は50~70キロサイズで小振りながら一応、産地出荷業者のシールも表示してあった。
色は良くないが、味は良い。良いとはいっても銀座の某寿司店で食べるような大間の本マグロではない(ような気がする)。
本当に難しいなあ。生鮮品は。車だったらクラウンだったり、ベンツだったり、表示通りの品質をメーカーが保証してくれるが、生鮮品は「クラウン」と表示されていても実際は「カローラ」だったり、逆に「カローラ」だと思って購入したら「クラウン」だったり(この例えは不適切かもしれません。当然、トヨタ自動車㈱の許可もとっていません。あくまでも食彩賓館的喩)。
だから、生鮮品は問屋さんが必要なんだよなあ。品質の見極めをして、当店の客に合った商品を提供しつづけてくれる仲卸さんが。
右から左へ長すだけの問屋さんなら不用とはいわないまでも存在意義はあまり感じない。
「今日仕入れたマグロは大間よりもこっちの産地がお勧めだよ」「いつもより品質が落ちるので、卸価格はこうだけど、少し値入を低くしてさばいてください」「今日のマグロはかなり卸価格が下がっているけど品質バツグンなので、いつもより値入多くしてもいいですよ」とかね。
信頼関係がないと相手から「ウルサイっ」と言われるか(笑)
漁船一隻買いもいいけど、品質の見極めができて、且つ、全量をうまく販売できる能力がないと難しい。意外と、漁協直取引でも、馴染みの問屋さんに売価の相談していたりして。
で、一番難しいのが客への説明。「今日のマグロはいつものメバチよりも、こっちのミナミマグロがいいよ~」とか言われても客は良くわからない。
そういえば、フィール社の某店でそのような案内を見たことがある。みごとな赤身のインドマグロだったが。
いい商品や担当者っていうのはこまめに店を回らないと見つけられない。
ということで、鮮魚担当者を大事にしなくてはいけないという話でした。
●購入商品
20100925_2
・だし巻きが美味しい。いやあ驚いた。

サンフレッシュ東郷店の話はちょっとしか出てこなかったが印象を記す

食彩賓館的印象(2010/09/21改訂)
 (評価ではありません)
総合     ★★☆☆☆
装飾・備品★☆☆☆☆
品揃・商品★★★☆☆ 
売場作り ★☆☆☆☆
品質・衛生管理☆☆☆☆☆
(オープンキッチン)
価格(当日)★★☆☆☆
サービス  ★☆☆☆☆
リピート  ★☆☆☆☆
視察向け ★☆☆☆☆
繁盛感   ★★★☆☆
上記の★☆の説明はこちら

●サンフレッシュ社に関する食彩賓館記事

・2008/9/9   サンフレッシュ新豊明店
・2009/11/6サンフレッシュ新豊明店 中京テレビで放映