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お年寄りに優しい、安心できる店について食彩賓館が思ったこと

本日は訪問記事ではありません。
食彩賓館は毎日、流通に関する情報記事をチェックしていますが、その中にちょっと面白い記事を発見。今日はその関連の話。

~●●店が高齢者に配慮した専用レジ「ゆとりレーン」を設置。平日午前11時~16時限定。サッカーサービスの他、売場からタクシー乗り場までの運搬を手伝うことも要望により実施~

ありがちなサービスなんですが、ここで自分の母(86歳)のことを例にとり、お話します。
 ご存知のように、年老いた母を古里に置いているため、時々、兄弟で様子を見に行っております。片道3時間30分程なので、頻繁にというわけにはいきませんが、親孝行な弟は毎月1回は顔を出していてくれています。食彩賓館は数ヶ月に1回ほど。
近くの温泉に連れて行ったり、新宮市のスーパーや普段行けない場所へ連れ出しています。
そんな母の買物ぶりを見ていると、スーパーでは必ず、大きなお札を出します。サイフから細かいお金を出してグズグズするのが嫌なんだと、上記の新聞を読むまで気付かなかった。
確かに、並んでいるレジでサイフの小銭を数えだすとイラっとくることがありますね。買物が少ない時には自分で計算して小銭をあらかじめ用意しておきますが、私の暗算能力では10品を越えるとそうはいきません。それで、私もお札を出すことが多い。おつりの小銭はコンビニなどで使わせていただいてます。
当然、クレジットカードやケータイ、さらにはプリペイドなどいろいろな小銭を使わなくても良い仕組みはあるのですが、食彩賓館は1回使うと納得して、且つ飽きる(笑)。いつも最初の1回だけ試し使いするだけ。ということで、ほぼ現金派です。
食彩賓館でさえそうなのだから、80歳を越えたお年寄りではなおさら、カードやケータイをかざすなんてことはしません。カードを使うような買物は私達兄弟のいずれかが同行して買物しています。実際、母は銀行ATMを操作できません。おかげで振り込めサギに引っかかる危険は少ないと思うのですが、エレベータを操作できないのには飽きれています。
 そんな母の普段の買物は近所のオークワ“さん”。オークワ社と母の関係は以前の記事に記しました。今でもオークワ社の優良顧客の一人です。
高齢なので普段の買物はバスで行きます。夏の暑い時期はタクシーを使うこともありますが、そうそう普段の買物にタクシーを使うのは経済的にも、近所の人の目もあり、使うことはできません。バスで行って、買物が終わった後は店のベンチに座って帰りのバスを待つ。そんなお年寄りを古里のオークワ社やジャスコ社の店舗で見かけます。
ありがたいことにオークワ社では買物を配達してくれます。ただし一定の金額以上でないと配達料金がかかるため、余分に買物したものは私達家族に宅配便で送ってくれる。それだったら、必要な買物だけして配達料金を支払った方が安いと思うのですが、お年寄りに意見することはありません。好きなようにしてもらっています。
 そういった自分の母親が安心して買物できるスーパーとはどういったものか。それをチョコっと考えてみました。

 「お年寄り体験」というのをしたことがありますか? 店長時代に顧客イベントで開催した時に私も体験させてもらいました。「老人力養成ギブス」をつけて階段を上がったり降りたり。そりゃ大変。“老人力”を実体験するため手袋をつけてサイフからお金を取り出すと、お札しか出せない。しかも「耳が遠い」を演出するため耳栓をしているので、レジの人の声が聴き取れない。
母の買物をもう一度思い浮かべる。確かにレジに並ぶとレジの金銭受けに一万円とポイントカードを置く。レジの人に何か言われても聴き取れないから最初から不足することのないお札を出している。
レシートの文字は細かくてわからない。賞味期限はなおさら。デジタルプライサーは光が反射して見えないのではなく、どこに価格が表示されているのかわからない。税込・税抜表示ならなおさら・・・。
まるで目隠しして、価格や表示の不明な商品を買物しているのと同じ。

 別企業の店長とお話していて興味深かった話がある。
「店内のお年寄りは自分が今、何処にいるか心配なんだ」という話。
だから、店内の陳列台は低くして、大きな文字でレジの方向を指し示す表示をつけなくちゃいけない。ここは店内のどの位置にあるかもわかりやすく表示することも必要。お年寄りが小さな店を好むのはそういったこともあるようだ。

 食彩賓館は店長や店舗部長時代に新店・改装を経験しました。その時に上記店長の言葉や自分の老人体験などを通して知っている範囲で、いろいろと工夫。例えば、売場の中ほどに「一休みスペース」を設ける。バスを待つ方用に風除室にベンチを設ける。エスカレーターのスピードはゆっくりに。
いろいろ工夫して自己満足していた私に常連客の強烈な一言。
「売場が変わって買いにくくなった」。
豆腐の売場や玉子の売場が変わったから大変買いにくいと老人会で話が出たとか。奥にあってわかりづらい売場をメイン通路に配置したのだが、それがどうも不評だったらしい。

 「いつもの売場でいつもの商品」「どんなに他のレジが空いていても、いつものレジの人に並ぶ」「同じペースで買物して、いつものバスで帰る」そういったこと、その他“老人力”、すべて配慮しないと「高齢者に優しい」とは言えない。自分の母親が買物すると思って店を作り、人を教育して配置しないと。そんなことを思った記事でした。
「専用レジ」「エスカレーター遅くしました」「老人のこと勉強しています」という報道を見て、確かにそうだけど、(その店の工夫は)それだけではないはずだと思った次第。それだけで「高齢者に優しい」と店がアピールするハズがない。

 えっ もしかしてそれだけ?

高齢者以外にも配慮しなくちゃいけないからなあ。