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流通物語【物流協力費及び販売奨励金、そしてその他慣行取引についての問題点】シリーズ第一弾 前文

まず、最初に断っておかなければならないが、食彩賓館の中で今回のテーマに関わる仕事をした経験があるのはkentnkだけです。ところが、そのkentnkが今回のテーマについては口が固く、「墓場まで持っていく」と言って情報を提供したがらない。なので、取引関係についてはほとんどタッチしたことのない安羅井人が、アレコレ想像で書いています。よって、今回の記事はフィクションとして読んでいただきたいと思います。一部、実際にあったことを書いている場合もありますが、それは話を本当らしく聞かせる手段であって、あくまでもこの話は素人が想像で書いたフィクションです。
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 取引というのは基本的に“Win-Win”が理想ですが、そうはうまくいかないのが世の常。

どちらかが得してばかり、あるいは損してばかりいるけど、大抵は売る側よりも仕入れる側が得を要求するケースが多いと思います。それは仕入れ側が優位になることが多いためですが、そういった立場を利用した無理強いな取引を防ぐために「独占禁止法」その特別法として、下請事業者に対する親事業者の不当な取扱いを規制する「下請法」があります。

取引に対して「不正」と判断し、勧告を行うのは公正取引委員会ですが、公正取引委員会は他の公的機関(例えば労働基準監督署等)同様に「訴え」がないと動いてくれません。
「訴え」は誰がするのかというと、優位的な立場の人が「私、優位的立場を利用してムチャ言ってます」とは自己申告しないと思うので、「訴え」のほとんどは取引先の人が窮して駆け込み訴えをすると思っています。最近ではアンケートなどを使って、公正取引委員会や消費者庁が動いているような印象を与えようと努力されているようですが・・。

さて、どのようなケースが勧告を受けるのかというと、直近のケースを確認してみました。

2011/6/29下請法違反

・自らの発注業務の合理化を図るために導入した電子受発注等に係るシステムの運用費用を確保するために、対価に相当するとは認められない過大な金額を「情報処理料」として負担するように要請した。

・自らが作成するカタログ等の作成費用を確保するため、下請事業者に対し、「チラシ掲載料」として一定額を負担するように要請した。

・下請事業者の直接の利益とならないのに「割戻し金」として1年間に支払う下請代金の額の合計額に一定率を乗じて得た額を負担するように要請した。

※総額19,537,5828円を下請業者に支払うように勧告があった。

2011/6/22優越的地位の濫用

・「新規開店、全面改装、棚替え等」に際し、納入業者の従業員を派遣させ、納品実績のない商品以外の作業に従事させた。

・「こども将棋大会」「レディーステニス大会」に際し、販売促進効果等の利益がない又は当該利益を超える金銭の提供をさせていた。

・自社見切り基準を経過したものについて返品していた。

・季節商品の販売時期終了に伴う入替を理由として仕入価格の50%を減じていた。

・全面改装に伴う在庫整理を理由として割引販売をしたものについて、相当額を支払い金額から減じていた

・クリスマスケーキ関連商品の販売に際し、仕入担当者から特定納入業者に対し、最低購入数を示した上で購入させていた。

※課徴金納付命令。22,216万円の支払いを命じた。

 ちよっと驚いた人がいると思う。心当たりのある方も多いハズ。
例えば、最初のケースはきちんと契約書を交わしていたのに勧告を受けています。これは下請け法の適用を企業側(このケースでは団体側ですが)が考慮していなかったためです。下請法の対象についてはいろいろと難しいので説明は割愛しますが、リベート関係に携わっている人のほとんどは、契約書を交わしていれば大丈夫と思っていることと思います。大至急、見直ししないと次は自分の番。これぞ他山の石。
こういった摘発や勧告は一罰百戒的に大手を対象にすることが多かったのですが、どちらもローカルで活躍している組織や企業で、優越的地位の濫用については、大きな声では言えないが、style=”FONT-FAMILY: "Arial","sans-serif"”>10年~style=”FONT-FAMILY: "Arial","sans-serif"”>20年前は当たり前のようにまかり通っていた内容ばかり。
昨今こそ、各企業とも「コンプライアンス経営」とか言い出して、露骨な要求はしなくなったものの、末端の店舗では相変わらず露骨なお願いstyle=”FONT-FAMILY: "Arial","sans-serif"”>(協賛や協力購入要請style=”FONT-FAMILY: "Arial","sans-serif"”>)をするところも残っているようです。おそらく、摘発が厳しくなっていることを知らないためと思いますが、そういった無知による法律違反はともかく、取引先への甘えの体質が、「厳しく摘発」と言っているにもかかわらず、従来通りの慣行取引形態を継続させている要因だと思っています。
一度、摘発を受けると、告発に対する報復措置を法律で禁じていることもあり、迂闊に取引を縮小させることもままならぬ事態となります。大きな帳合変更時には充分、注意して取引先動向にも配慮しないと思わぬ結果を招くことになりかねません。

 整理すると
1.
取引は“Win-Win”が原則なのに、買い手側だけが得をしようとする。
2.
取引先にメリットのない協力(金銭・物品・人)は要求しない
 に 尽きると思います。
ところが、株式を店頭公開しているスーパーマーケットの有価証券報告書を見ると、営業で確保した荒利益率よりも販売管理費比率(運営にかかわる費用)が高くいもかかわらず、営業利益率を確保している企業が多い。もちろん、専門店収入や家賃収入などもあるが、ここ20年位の間に増えたのが物流協力費と販売協力金、あるいはオンラインを通じての伝票レスや受発注の仕組みにかかわるIT関連費用を負担していただく経費負担金ではないかと想像しています。(もちろん、利息など営業外収益や営業外費用など財務活動の利益もあることは重々承知)
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●上記の表の説明はこちらのページ
 (食彩賓館の読者専用ページです)

 食彩賓館の記事で、このような話をしても興味のある方は少ないと思いますが、何故、物流協力費があんなに高いのか不審に思っている方も多いはず。そのあたりの事情を過去の経緯から順番に物語し、不定期で連載していきたいと思います。

次回は 前文に続き記事として

●【第1部  物流協力費・センターフィー編】

 ・「その1 物流センター開設前」(7/12記事) 
 
というテーマで書きたいと思います。
(
この記事はフィクションであり、登場する団体及び企業は公正取引委員会と消費者庁を除いて架空の団体です。内容も想像で書いていますので、実際の取引とは関係がありません)
↑ くどいけど毎回、これを言っておかないと()