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山恵(愛知県豊田市足助町)による足助獣肉加工センター(2016年1月10日稼働)建設とジビエ食材を食したり調理する場合に消費者として注意すべきこと。工房「しし森社中」も隣接

【この記事とは別に訪問記事を公開】

猪鹿工房㈱山恵(愛知県豊田市)訪問記
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 “ジビエ”とは狩猟によって、食材として捕獲された野生の鳥獣のことで、主としてフランス料理で用いられるが、わが国でも古来より山間部の貴重なタンパク源として食用に供されてきました。

 今年、愛知県豊田市に一般流通を目的とする施設としては豊田市初の獣肉加工処理場が建設される予定です。
稼働は2016/1/10。
これにより愛知県の猪・鹿の処理施設は4ケ所になりました。

山恵
1/10稼動 足助 猪鹿工房㈱山恵
足助地区獣肉加工処理施設
豊田市新盛町菅田20番地1
℡0565-98-0836
建設主体:株式会社 山恵
施設規模:鉄骨平屋建て80.19㎡
 (搬入洗浄室、解体処理室、原材料室、枝肉処理室、包装室等)
 建設資金:国の「6次産業化ネットワーク交付金」及び「豊田市補助金」を活用
処理頭数 約800頭
商品化  ソーセージ、肉まんの具
建設費  約4,400万円
豊田市補助 3,562万円(豊田市HPより)
稼動予定 2016年1月10日
着工予定 2015年7月
開業前訪問日 2015/06/06(part1記事6/6
稼働紹介記事 2015/01/10(part2記事1/10)
↓ オープン後訪問追記

●20160315足助 猪鹿工房㈱山恵  (11)

 ↓ 隣接の「しし森社中」。猪・鹿のアクセサリー等、足助の獣活用工房

●20160315三州 しし森社中 (1)

 

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株式会社 山恵(やまけい)
愛知県豊田市新盛町菅田20-1
 設立年月日 2013年11月13日
 資本金    480万円
連絡先 足助商工会内※施設開業までの間
事業目的
1.農産物、林産物及び畜産物の生産、加工及び販売
2.鳥獣害対策及び獣肉活用に関する調査研究
3.野生獣類の食肉加工及び加工品販売

国土交通省観光庁の観光カリスマに選定されている小澤庄一氏が社長。氏は豊田市足助町に独立採算運営の施設「三州足助屋敷」、「福祉センター百 年草」を建設し、山村生活文化伝承と高齢者雇用を同時に実現させた実績により、“生活文化体験型観光(山里版)のカリスマ”として選定されています。
社名の「山恵(やまけい)」は、主力商品として予定しているイノシシ肉が過去より「山の恵み」として重宝されてきたことから命名。

建設地は新盛町公民館隣接地が予定されています。

 豊田市の農地のうち、鳥獣被害による耕作放棄は53haほど。被害額は9千万円。関連データ(豊田市)
被害の原因となる鳥獣は約80%がイノシシ(2013年実績)。被害がなくなれば再開したい、すなわちイノシシ等の鳥獣駆除を必要としている農地は53ha のうち約48haということで、駆除を期待する耕作者がいらっしゃいます。豊田市関連HP
それではイノシシの捕獲頭数はどうなってい るかというと、2013年1,838頭、2014年2,557頭ながら農産物の被害額は横ばいということで、豊田市では里地へ出没するイノシシを全頭捕獲する計画をたて、2017年と2018年に4,200頭の駆除を予定しているそうです。
ちなみに捕獲されたイノシシを処理する施設は現在のところ豊田市にはなく、近隣では岡崎市と新城市、設楽町にあります。
●三河高原 ジビエの森 
愛知県北設楽郡設楽町津具字野向2-1
℡0536-83-2114  
猪・鹿肉販売

●中部猟踊会
愛知県岡崎市夏山字外田2-6  
℡0564-82-3638
 ・猪・鹿肉販売

●三河猪家
愛知県新城市矢部字広見53-5 
℡0536-22-4429  
 ・猪・鹿肉販売

 捕獲されたイノシシの有効利用という点で今回、足助町に新設される獣肉加工センターに対する期待は大きいと思われます。
センターの処理予定は300頭/年ということで、残りのイノシシの行く末も心配ですが、岡崎市、新城市、設楽町の処理場以外で処理された猪肉のことも気がかりです。
“大切な山の恵み物”である猪を廃棄物として焼却もしくは埋設処理するのではなく、捕獲個体の資源化や地域振興としての取り組み、さらには古くからの地元食の次世代への継承等々に期待したいと思います。

 さて、食彩品館.jpとして気になるのは食品衛生。新設される加工センターのことはともかく、自家用として処理されたり、おすそ分け的な流通形態等々の安全性担保の課題。
ま た、日本人の生食好きは「生食」として流通していない牛肉を刺身にしたり、牛レバーが禁止されると豚レバーを代替生食(こちらも禁止になりましたね)したり、カンピロバクターやサルモネラ汚染が心配されている鶏肉の刺身・霜降り等々、「やめておけ」と厚生省や保健所が忠告してくれても、法律で禁止されない かぎりなくなりません。
どうも「新鮮だから大丈夫」とか「今まで大丈夫だった」「自分は自信がある」等々、なんとも心もとない安全意識や衛生管理意識が心配です。
特に「ジビエ」には以下の配慮が必要
・野生動物には、病原体や寄生虫が存在している可能性があることを認識すること。
・野生獣の肉の生食が原因と考えられる腸管出血性大腸菌感染症やE型肝炎及びトリヒナ症の感染事例もあることを提供者も実食者にも周知徹底すること。
・中心部まで火が通るよう十分な加熱処理が必要。
<ご参考: 厚生労働省「野生鳥獣の病原体保有状況調査」>
上記資料のデータから、イノシシ肉から寄生虫卵の検出が50%、E型肝炎ウイルスの検出が26%のため、調理までの流通管理はもちろん、調理時の移染防止対策や、肉の中心部までしっかりと熱を通さないと危険だということがわかります。
こういったデータを読むと熱を通したとしても焼けた寄生虫や卵を一緒に食べているのかという思いがフツフツと・・・・。いやいやこれは魚も蓄肉も同様。

 それでは捕獲したイノシシやシカを食肉として流通させる場合、食品衛生法の観点から注意点を列挙すると
・と殺・解体処理を行う施設については、都道府県の条例で定められた施設基準に適合する「食肉処理業」の許可を受けること。
・食肉の処理に当たっての衛生管理は、厚生労働省が定める食肉の調理・保存基準のほか、都道府県の条例で定められた基準を遵守すること。

 家畜の食肉は、と畜場法で衛生的なと殺・解体や検査が義務づけられているが、イノシシやシカなどの野生動物は適応外のため、自治体のガイドライン等に沿って処理を行う必要があります。
例えば、北海道の「エゾジカ」に関するガイドライン、長野県の「信州ジビエ」に関するガイドラインがそういった衛生管理を規定しています。他にも山梨県、群馬県、島根県にもあります。
そして我が愛知県にも「愛知県野生鳥獣肉衛生管理ガイドライン」が存在してます。
過去の推移から時系列で並べると
・2011年2月1日ガイドライン策定
・2014年11月14日厚生労働省「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」策定
・2014年12月19日「愛知県野生鳥獣衛生管理ガイドライン」改訂。
・2015年1月狩猟者及び食品事業者等へ説明会開催。

内容としては
・イノシシ、シカを対象とし、他の野生鳥獣についても準用
・野生鳥獣肉を不特定又は多数の者に供与する者を主な対象
・自家消費に伴う処理を行う者については「参考」
・狩猟時及び食肉処理時に野生鳥獣の異常を確認
・野生鳥獣の狩猟時、運搬時、食肉処理時、加工調理時、喫食時の取扱を適切に行う
・HACCP(危害分析・重要管理点方式)に基づく衛生管理を行うことが望ましい。
・衛生管理マニュアルを作成
・食中毒発生時における拡大防止等の対応を迅速に行うため、記録の作成及び保存を行う
・野生鳥獣肉による食中毒の発生を防止するため、十分加熱して喫食する。
厚生労働省「ジビエ(野生鳥獣の肉)はよく加熱して食べましょう
 ということで、不特定多数への提供をしている場合はガイドラインの内容で処理しなければならず、自家消費の場合は「参考」として活用するようになっています。

 よって消費者として安全を高度に担保するには以下の2点につきます。
1. 認可された「処理場」で処理され適切に管理・流通された商品である。
2. 料理の場合は中心部まで熱が加えられていること(中心部75℃1分以上の加熱)。

 他にも、他の食材への汚染を防ぐために保管場所や調理器具の分別使用も必要かと思われます。なんにしても、家畜よりもリスクが高いことを念頭に取り扱うことが必要になりますね。

  場所は豊田市の東海環状自動車道豊田松平インターチェンジ、または猿投グリーンロード力石インターチェンジより国道153号線を足助町を目指してドライ ブ。紅葉で有名な香嵐渓(足助町)から直線距離で約5Kmほど稲武方面へ進む。県道19号線との分岐である「新盛」交差点を左折した場所に、左側に「珈琲 郷地」が見え、右側に「新盛集会所扶桑館」が見える。
山恵の足助獣肉加工センター(勝手称)建築予定地は扶桑館に隣接する空地。

●足助獣肉加工センター山恵20150604 (1)

 ◇地図足助獣肉加工センター山恵

●新盛集会所扶桑館20150604 (3)

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珈琲郷地
愛知県豊田市新盛町郷地ヶ入1-1
℡0565-67-2706

■20150604珈琲郷地

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