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人物観察。初対面で不遜な態度の理由

05雑感・所感|2017/08/17 posted.

 先日、面白い人に出会った。
ある会議に出席したのだが、北は北海道から沖縄まで全国から60~80名程が集まる会議。ほとんどの人は互いに面識がなく、さらには今後、2度と会うことがないかもしれないという薄い縁。年代は40代後半から60歳代半ばまで。50代を中心とした男女で職業も私生活もほぼお互い不明不知。ただし、共通点がたったひとつあるのだが、それは内緒(^_-)-☆。
かなり早めに到着したので会場というか会議室が施錠されていた。少し入口で待機。
当日の外気温は35℃。屋内とはいえ、エアコンの利きが悪く、結構暑い。
しばらくすると、会議に出席すると思しき方が現れた。こういった場合、先着側から声をかけて現在の状況(会議室が施錠されていること、招集者が未着であること)を伝えるのが筋だと思っているので、私から声をかけた。
そして、天候のこと、来場地のこと等、当たり障りのないことを話していると、もう一人が現れた。

 挨拶と状況説明をするが「フン」という感じで受け流された。相手の対応に少しムッとしたが、返ってきた言葉に少々驚いた。「どうせろくでもない会議が長引いているんだろう」。
確かに、私達の参加する会議の前に関連会議が開催されていて、そこに参加している人達が、私の参加する会議に連続出席する予定だった。
でも私達の参加する会議開始まで1時間以上ある。施錠されている理由はただ一つ。「私達が早く来すぎた」というのが理由であり、会議が長引いていることも、招集者の不備でもない。
そしてなにやらブツブツ会の運営に対する不満を言い出した。

 これは面白いタイプの人に出会ったとちょっと喜ぶ。
普通、人は初めて出会った人に対して、普段以上の気遣いを相手にする。例えば、挨拶が丁寧だったり、お辞儀が深かったり、笑顔で話したり。「いつもより少し気取った対応」をするのが普通。
今日の注目人物はこの人だなと勝手に決定。つまらない会議というかあまり興味のない話題が続く会議だが、こういった人物に注目して、その作法や態度・発言を見ていると、つまらない会議に出席している時間を上手に過ごすことができる。
そんな思いが通じたのか、近くの席、しかも良く見える位置にその人が座った。

 注目に値する人物だなと確信するまで時間を要さなかった。会議が始まると、議題についていちいち小声で反対意見をつぶやく。無視していたら、臨席の他の人に同意を求め始めた。
とうとう挙手して発言をする。いったいどのように発言するのかと思っていたら、内容はさほど過激でもなく、普通の内容だったので、少しガッカリした。ただし言い方は“不遜”だった。

 会議に引き続き、飲食を提供される立食パーティで“不遜人”はスピーチをしたが、その内容もまったくつまらない内容で、誰かに説教をしているような内容だった。交代で全員がスピーチをするが、気の利いた話題を出して注目を集めないと、誰も聞いてくれないことを理解できていないような印象を受けた。
ここでわかった。単に不遜な態度をするだけの礼儀知らずな人だったようだ。その後は興味が失せたので、その人の近くから離れた。

 一体、どういった環境で過ごすと、初対面の人にああいう不遜な態度を取れるのか不思議だったが、出身母体聞いて少し理解できた。かなりの大世帯の組織の代表者で、不遜な態度は出身母体の大きさを背景にした態度であることが薄々わかってきた。ちなみに会議の議決権は株主総会ではないので、出身母体の大小に関わらず、一人一票。つまり皆さん平等の資格で参加しているので母体の大小・所属人数の多寡は関係ない。

 会に参加する多くの人は、服装や持ち物、立ち居振る舞い、スピーチの内容から比較的裕福で高学歴の方が多いような印象ながら、私がそれまで出会った同会の方々は、“俺様アピール”的に自分の職業や社会的な地位を積極的に開示される方は少ない。
ここで興味が再燃。いったいどういう人だろうか。
大きな母体出身で、且つ、社会的に地位が高いとされる職業についていて、普段、目下の人とだけ付き合っている人、例えば大学教授で学部は医学部、周囲は若い医局員ばかり・・・とか。(教授、失礼)
いや、現役の大学教授や退官をされた元教授にも会で何人にも出会っているが、一般の方よりも初対面時の態度は穏やかで控えめであることが多い。
裁判官・判事。政治家・省庁幹部。2世オーナー社長。
いろいろと想像するが、単にマナーの悪い方を除いてこういう態度をとられる方は今まであまり出会ったことがなかった。
出身母体の大きさから想像するに、「不遜な態度の人」が代表になれるとは思えない。何かこの人が代表者になる理由がある筈。

 「一体、何者だろうか」。気になって注目していたのは私だけではなかった。仲間内だけで開催した会の二次会の話題は彼の話題で持ちきりだった。
会の古参幹部が彼の正体を知っていた。
「あの母体の代表の代理で来た人。尚且つ、自分が代表になりたかったものの、代表になれなかった人」
不遜な態度は自分が代理出席であることの不満の表れ?
あるいは正式な代表者ではないことの引け目を隠す尊大姿勢?
自己防衛の一種?

 多くの参加者の中で注目を集めるにはああいった態度で人に接する方法もあるんだなあというのが結論。本人は注目を集めるのが目的ではなかったと思うが。

 

 2度と会うことはないであろう縁の薄い会議での出来事でした。