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甘泉寺のコウヤマキ(史跡名勝天然記念物,愛知県新城市作手)そして“戦国の走れメロス”鳥居強右衛門勝商の墓は織田信長建立。

(2020年4月の愛知県緊急事態宣言前の訪問記事です)

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 古宮城址(愛知県新城市作手)を訪れた時に周辺の観光案内板を何気なく見ていたら甘泉寺が近いことに気付く。
せっかくの機会なので次の目的地である亀山城址の前に寄り道訪問をすることに。

翔龍山甘泉寺
新城市作手鴨ヶ谷字門前23
℡0536-37-2337
駐車場20台
開基(伝) 1370年(応安3年)
臨済正宗22世弥天永釈大和尚
本尊 釈迦如来

 


◇地図


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 まずは駐車場に停めて、参道脇の神社を参拝。
古宮城址の神社も白鳥神社だったが、こちらも白鳥神社。

参道に戻り甘泉寺を目指し、階段を登る。



参道左右に杉の大木樹高30m 幹周り4.27m 樹齢300年以上というものもあり、見ごたえがあります。

 


 こちらの甘泉寺には日本最大ではないかといわれるコウヤマキの大木がある。

樹高27m~28m,幹周り6.3m~6.5m, 根周り8.55m,樹齢 600年以上

寺伝その他の説として、近江国の永源寺より来訪の臨済正宗22世弥天永釈大和尚が甘泉寺を開山。
その時に手にしていた杖を地面に突き立ててたところ、杖が根づいて大樹に育ったという。
こちらのコウヤマキの枝が下向きに伸びているのは、弥天永釈大和尚が杖をさかさまに突き立てたためという伝説を残す。

コウヤマキ(高野槙,高野槇)

マツ目コウヤマキ科の常緑針葉樹で日本固有種。もともと固有種だったわけではなく、かっては北アメリカやヨーロッパにも自生していたが、現在は日本のみ自生し、他国には栽培個体があるのみとなっているようです。

 甘泉寺のコウヤマキは国の天然記念物に1972年(昭和47年)登録。
国指定の天然記念物のコウヤマキは日本に2点しかなく、この甘泉寺の他に「祇劫寺(ぎこうじ)」(宮城県大崎市)が指定されている。
残念ながら、2009年(平成21年)に台風により木の上部を欠損。
コウヤマキの樹皮にはコケシノブ,セッコク等の野生蘭類が寄生し、歴史と風格を感じる。

 甘泉寺にはもうひとつの大きな見所がある。

鳥居強右衛門勝商の墓」。

三河の英雄である鳥居強右衛門勝商(とりい すねえもん かつあき)を知らない人はいないと思うが、念のために説明。
1575年(天正3年)長篠の戦いの折、武田信玄訃報により、武田側から寝返って徳川方についた奥平貞昌(奥平信昌)長篠城を500人で守っていた。
その長篠城を武田勝頼軍15,000人が包囲し、猛攻するも、なんとか長篠城は耐えていた。

しかしながら、籠城用の食糧を攻撃により焼失したことから、岡崎城の徳川家康援軍要請のため使者を送ることに。
この使者に志願したのが足軽身分の「鳥居強右衛門勝商」。

夜間に城の下水を伝って川に降り、さらに潜水古式泳法で川を渡り、敵軍を突破し、無事、援軍を徳川家康に要請することができた。
途中、城の脱出に成功したことを長篠城へ伝えるために狼煙を雁峰山であげている。

折よく徳川軍の援軍に駆け付けた織田信長軍勢も岡崎に到着していて、合わせて38,000人の大軍が援軍として長篠城へ向かうことに。


徳川家ではしばらく岡崎城に留まり休息せよと強右衛門に勧めるが、彼はこれを断り、折り返し、長篠城へ戻り、任務達成(援軍到来)を城内の味方軍に伝えるために元来た道を駆け戻る。

往路同様に雁峰山で狼煙を上げ、援軍要請に成功したことを城内の味方に伝えることは忘れなかった。(この部分、重要)

 ところが、好事魔多し。この狼煙が上がるために歓喜する長篠城内の様子に不審した武田軍は警戒していて、鳥居強右衛門を発見し捕らえた
武田軍は強右衛門に「援軍はこないと長篠城に伝えよ」と強要。しかも強右衛門を武田家に厚遇で登用することも条件に加えた。
強右衛門には考えがあり、この武田軍の要求を受け入れ、長篠城西側対岸の城から良く見える場所に連れていかれたが、「援軍はすぐに来るから持ち堪えよ」と叫ぶ。

~「憂ふることなかれ。徳川・織田二公大軍を率ゐて、既に出発せらる。囲の解けんは二~三日の内にあらん」~

↓ 鳥居強右衛門 磔の場所(対岸)

激高した武田勝頼は、「敵ながらあっぱれ」とする一部の武田家臣が止めるのを聞かず、鳥居強右衛門を逆さ磔にして殺害する。

 この死を賭した強右衛門の行動に鼓舞された長篠城の将兵は、援軍到着までの二日に及ぶ武田軍の猛攻に耐える

長篠の戦いは織田・徳川連合軍の圧勝に終わるが、鳥居強右衛門殺害を聞いた徳川家康は「勝頼のような武士の忠義を粗末にする大将はいずれ家臣たちの離反を招いて滅亡する」と予言し、事実、そのようになり武田家は滅亡する。

また、鳥居強右衛門忠義に感動した信長が建立したのが、今回、訪れた甘泉寺の「鳥居強右衛門勝商の墓」である。

鳥居強右衛門は現在の豊川市出身だが、妻が新城市作手の出身ということで、この地に縁があり甘泉寺に墓がある。

 鳥居強右衛門の忠義により、奥平家は大いに家名を高め、長篠の戦いを「開運戦」とし、強右衛門の子孫は代々「強右衛門」を名乗り、奥平松平家で厚遇(子孫は家老)を得た。

味方軍だけでなく、敵方の武田軍にも強右衛門の忠義に感動した武士がいて、武田家家臣の落合左平次道久は自分の旗指物に、磔にされたされた鳥居強右衛門の姿の図柄を採用し、これを戦場で用いたという。

戦場でこの旗指物を見た相手軍は相応にビビったと思われる(#^^#)

JR東海飯田線の鳥居駅はこの鳥居強右衛門最期の地であるということで命名されている。

長篠城址 2008/05/18撮影

↑ 当時、小学生だった長男の頭。

↓ 鳥居強右衛門 磔の場所(対岸)

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JR東海飯田線鳥居駅


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長篠の戦い決戦場跡 2008/05/18

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作手と新城地区の関連城址


亀山城址
新城市作手清岳字城山 地内
(道の駅 つくで手作り村に隣接)
2009/01/28亀山城址(愛知県新城市)

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古宮城跡
愛知県新城市作手清岳宮山31

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石橋城址(慈昌院)
新城市作手清岳寺屋敷3
作手奥平氏ニ代の奥平貞久の次男、久勝が最初の城主。天文6年(1573年)に久勝の子である繁昌の模範発覚により攻められ討死。

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川尻城址
愛知県新城市作手高里城山32
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文殊山城址
愛知県新城市作手清岳杉本
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塞之神城址(さいのかみ)
愛知県新城市作手清岳 クザ畑2

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新城城址
愛知県新城市字東入船

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長篠城址
愛知県新城市長篠市場22ー1

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野田城址
愛知県新城市豊島本城
2011/12/18武田信玄最後城攻野田城址

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織田信長陣地(長篠・設楽合戦) 長篠設楽原PA

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設楽原の馬防柵

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