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らっきょうの赤ワイン漬,道の駅つくで手作り村(愛知県新城市作手)で購入。らっきょうの生産全国シェア。鳥取砂丘らっきょう,三里浜砂丘地,花らっきょう,三年掘,三年子,エシャロット,らくだ,八房,九頭竜玉らっきょう,,太鼓切り,熟成本造り,砂のしずく,特味神花,本場の漬け方レシピ,

赤ワイン漬け」というのが購入理由。

面白いなと思ったのは、世に出回るレシピとして、もともとの生鮮らっきょうから作るものもあれば、漬けたらっきょうから再仕込みのような感じで味付け的な漬け込みをするレシピの両方があること。

さらに、塩らっきょうから赤ワイン漬けをするというレシピもあったりして、これも再仕込みタイプ。

梅干しや梅酒を作ることを「梅仕事」といい、らっきょうは「らっきょう仕事」という。

仕事だったら一度で済む方が良いが、いろいろな味を楽しむならば塩漬けにしておいて、そこからいろいろとアレンジする再仕込みタイプのような仕事の方が食べる楽しみが増える。

 今回の購入品はどのタイプかは不明だが、しっかりと付け込まれていて味も良い。
ただし、らっきょうの食感がイマイチ
イマイチといっても普通のらっきょうの味だが、それでは当方が感じる「美味しいらっきょう」というのはどういうものか。

今回の記事は「作手村の赤ワイン漬け」から発展して、美味しいらっきょうの覚書記事にすることに。

 まず、品名。
農林水産省における表示は「らっきょう」だが、当方が売場で手書きPOPを書いていた頃は「ラッキョ」あるいは「良京」と書いていた。
正式な漢字表記は辣韮、薤、辣韭といったところか。
↓ らっきょうの花

らっきょうの2018年全国出荷量は農水省地域特産野菜生産状況データによると、以下の通り。

全国出荷量7,266トン
 (生食用4,757トン、加工用2,509トン)
1位 鳥取県    2,259トン 31%
2位 鹿児島県 1,921トン 26%
3位 宮崎県  1,241トン 17%
4位 徳島県   459トン   6%
5位 福井県   448トン   6%

上位3県で全国の74%を占めるのはイメージ通りだが、意外なことに花らっきょうで有名な福井県が印象よりも少ない

また、茨城県も多いように思うが5位福井県の半分ほど。

徳島県は加工用出荷がすべてで、加工用シェアだけに絞ると全国18%になることもわかった。

 自宅用の漬け材料として出荷される「生食用」に限ると、以下のようになる。

生食用らっきょう 全国出荷量 4,757トン
1位   鳥取県  1,847トン  39%
2位   鹿児島県 1,204トン  25%
3位   宮崎県   547トン  11%
4位   福井県  356トン  7%
5位   茨城県  200トン    4%

こちらも上位3県で全国の75%を占める。

加工用出荷専門の徳島県がランクから消え、かわって生食用出荷の多い茨城県が5位にランクイン。

私が青果バイヤーだった30年~35年前は鳥取産の洗いらっきょうメインに仕入れていて、それに加えて、宮崎や鹿児島の根付きらっきょうを少量だが販売していました。

当時は今よりも自宅でらっきょう漬けを作る人が多く、梅ほどではないにせよ、時期的には売場のかなりのスペースを割いて洗いらっきょうを販売していたと記憶。

2018年データでは出荷量は年間7,266トンだが、2008年には年間12,940トンが出荷されていて、その前の10年間もほぼ同数量が安定的に出荷されていたようです。
この10年間で半分近く減収になっている。

 輸入品はどうなっているかというと、主力は中国からの塩蔵らっきょうで、2014年から2018年までほぼ800トンから1,000トンが輸入されている。
他国産地では2018年12月に少量のベトナムからの輸入があったが、それ以外は中国がほぼ独占している状況。

 というデータから、2つの産地を取り上げてみたい。

まずは、出荷量、第一位の鳥取県
昔からカレーライスには福神漬けからっきょうが添えられていたこともあるが、出荷量全国一位の鳥取県はカレールウの消費量も全国第一位という、後でとってつけたような組み合わせでの全国一位情報話が有名。

鳥取らっきょう

鳥取砂丘らっきょう」として2016年に地理的表示登されるまでも、全国的な有名産地。
鳥取市福部町内の鳥取砂丘に隣接した砂丘地で大正時代より栽培される古いらっきょう産地。

らっきょうの栽培地は低地力,低保水力,低保肥力の土地が適していて、砂丘地はこの条件にぴったり。
栄養豊富な土壌で栽培すると飴色のようならっきょうが生産され、鳥取産のような白いらっきょうはできないそうです。

 らっきょうの品種はさほど多くなく、「らくだ(在来種)」「八房(らくだと玉らっきょうの中間種)」「九頭竜(福井県の在来種系から優秀なものを選出)」「玉らっきょう(台湾系)」が栽培されていて、鳥取県では「らくだ種」を採用している。
砂丘にラクダとはまさしくピッタリな印象だが、鳥取砂丘の環境に適合したらくだ種はしゃきしゃきとした食感,色白の外観等の特徴があり、産地での栽培・出荷基準も統制されていて、市場評価も高い。
らっきょうは6鱗片のうち外鱗と内鱗の硬さが同一になったときに歯切れが最良と言われています。
身がしまるほど繊維が細かく、食感を良くする。
すなわち、大きなものよりも小さなものの方が市場評価も良くなる

鳥取では収穫後に、地元で「太鼓切り」と称する伝統的な方法で葉と根を取り除きます。「切り子」と呼ばれる方々による手作業で行われていて、これが「洗いらっきょう」として全国に出荷される。

また、「根付らっきょう」は葉と根を長めに残して出荷されます。

 歴史も古く大産地の鳥取県に対して、「福井県産」はらっきょうの出荷量は全国5位で、シェアも6%と少ないにもかかわらず、らっきょう産地として鳥取と並び称されるほどの評価が高い産地。

 理由としてはこの地で出荷される「花らっきょう」にある。

通常のらっきょう栽培は8月中旬~9月下旬に植え付け、翌年6~7月に収穫をする。

福井の花らっきょうの場合は収穫時期をさらに1年遅らせて、冬越しを2回させてから収穫していすます。
こういった栽培方法を「三年掘り」「三年子」と呼ぶ。

種球1粒は最初の1年間で6~9粒に増え、さらに丸2年育てると40~60粒になる。
収穫された「三年掘り」「三年子」は皮が薄く繊維が細かくなり、小粒で身が締まり、シャキシャキとした歯切れの良いらっきょうとなり出荷されている。

福井市白方地区から坂井市浜四郷地区にある「三里浜砂丘地」で栽培されていて、明治の初期に和歌山県から持ち込まれて以来、130年間も続けられています。

 収穫されたらっきょうの一部は、三里浜特産農業協同組合で加工される。
小粒が特徴の三年子ながら、その中でもあえて大粒を選りすぐり、1年間じっくりと低温で漬けた「熟成本造り」。
足かけ三年に加えて、漬け込みに一年。できあがるまでに4年のらっきょう漬けは食感も味もまろやかで、歯ざわりもグッド。
その他にも、特別栽培コシヒカリの米酢で漬けた「砂のしずく」や、三年子の中でもさらに小粒を選んだ「特味神花」も販売されている。

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 ところで、八百屋さんでらっきょうによく似た「エシャロット」が販売されていることがあります。

エシャロット

若採りのらっきょうのことで、玉ねぎのようなルックスから「エシャロット(フランス語,echalote)」と東京中央青果で名づけられ、昭和30年代より販売されているが、ヨーロッパでも小玉の玉ねぎで「エシャロット」という名称の野菜が流通していて、日本に入荷した時だけは「ベルギーエシャロット」として販売することになったとか。
以下、日本版エシャロットの出荷データ。

◆日本版エシャロット(農林水産省統計では“エシャレット”)

 2018年度の出荷量は全国で607トンで、茨城県が465トンで実に77%を占める。
次いで静岡県の129トンで21%。
両県で全国の98%を占めています。
茨城県では行方市が県内生産の99%を寡占。静岡県では浜松市が独占(100%)。

 エシャロットはその生長にあわせて、茎が曲がらないように、また軟白栽培として、収穫までに4回に分けて土寄せという作業をします。
収穫は年内採りで11月~12月、春採りは2月~3月と、普通のらっきょうとして育つ前に収穫され、市場に出荷される。
普通のらっきょうほど香りや癖がなく、生食として食べられるのが特徴。
沖縄の島ラッキョウと同じような食べ方で、味噌和えや塩漬け、テンプラでもOK。
ただ、エシャロットは島らっきょうと違い、グリーンの葉も可食部分で、天ぷらのかき揚げなどにお勧め。

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最後に本場鳥取県の漬け方レシピの紹介。

◇JA鳥取いなばの簡単漬け方レシピ

□分量
(生らっきょう1kg分)
 洗いらっきょう1kg
 塩約20g
 鳥取砂丘らっきょう酢550cc
 氷砂糖約100g
 鷹の爪(赤とうがらし)1~2本

□瓶の消毒
 大きめの鍋に水と瓶を入れ、しっかり沸騰させた後に10分程、煮沸消毒し、そのまま冷却。
 蓋は熱湯にサッとくぐらせる程度でOK。

□らっきょう洗浄
らっきょう同士をこすり合わせるように洗い、薄皮を取り除く。目安として4~5回は水を替えながら行う。

□塩を振る
一粒一粒が綺麗になったら、ザルに上げて水気を切る。
らっきょう全体に塩を振り、全体に行き届くよう混ぜ合わせて1時間程度置く。
塩をすることで余分な水分を取り、殺菌効果を高め、芽止めの役割を果たす。
時間が経ったら、サッと水洗い。

□熱湯に浸す
沸騰した湯に、ザルごとらっきょうを一気に入れる。
火を止めて箸でかき混ぜながら10秒間浸す。これは均一に殺菌効果を与えるのが目的。
引き上げてそのまま冷ます。
※熱が入り過ぎないよう、らっきょうを入れたら火を止めること。
※冷ます時に、絶対に水をかけないこと。

□漬ける
先ほど、煮沸消毒した瓶に、冷ましたらっきょう、氷砂糖、鷹の爪の順に入れ、最後にらっきょう酢を瓶の肩を目安に注ぐ。
※氷砂糖・鷹の爪は好みで調整。

□食べる時期
冷蔵庫、または冷暗所で保存。
漬かり具合を確認しながら、好みに応じて1~2週間後位から食べ始められる。

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◇梅仕事、らっきょう仕事、味噌仕事

2014/08/17すずみそ醸造場豆つぶ
2017/05/125年熟成ヴィンテージ矢作八丁味噌
2017/06/23紫色の小梅「パーブルクィーン」
2017/10/26日本ノ糀,豆味噌),野田味噌商店