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「縄文おやき」小川の庄(長野県上水内郡小川村)縄文おやき村。コミュニティビジネス。モチベーション,動因,誘因,第三セクター,6次産業お年寄りが歩いて15分の距離,「他人の飯を食う」ことの意義,

コミュニティビジネス」。

ソーシャルビジネスが社会的課題全般の解決を目指すことに対して、コミュニティ・ビジネスは地域の課題、例えば過疎・高齢化・働き場所・インフラの充実等について、住民が主体となってビジネスの手法を用いて解決する取り組みのことをいう。

 個人ではビジネスとして成立しなかったようなコト・モノでも、地域資源、すなわち地域の人材・技術・資金を投入することにより、ノウハウが共有・蓄積され、持続的な経営により、新たな創業、雇用の創出、働きがい、生きがい、連帯感を生み出し、地域コミュニティの活性化に寄与することで地域の課題が解決できる。

 どんなコミュニティビジネス事業でもいえると思うが、立ち上げ時は国や地域からの補助があり、且つ、経営側も雇用者側も意識が高い傾向にある。
ところが、時間経過とともに意欲というか、気持ちの高揚感も減少する傾向にあるようにも思う。
立ち上げ期間の決まっているプロジェクトならば、その到達目標に向かうことで意識のベクトルを集中させることも比較的容易だが、ビジネスは自立と持続を目的とするため、未来永劫、常に新しい取り組みや新鮮な発想が求められるにもかかわらず、意識の低下はコミュニティ・ビジネスの浮沈に影響する。
意識や意欲の持続が難しいというのが永遠の課題といえるが、これはどのような事業でも同じ。

 コミュニティの中での事業なのでフレッシュな人材の登用もなかなか難しい。

もし仮に登用できたとしても、外部からの人材はなかなか周囲に馴染むのが難しい。

企業における、モチベーション(動機付け)の維持は、動因(気持ち)誘因(目標・目的)の欲求をいかに無理なく継続できるか。これは永遠の課題。

 閑話休題

 このようなコミュニティビジネスは「創成期」から「発展期」まではともかく、その後の「安定期」に達するまでが大変ということだが、今回、購入した「おやき」を製造販売する「小川の庄」は成功事例のひとつであると思う。

 信州方面に旅行にいくと、必ずといって良いほど購入している「おやき」。
今回、たまたま訪れた刈谷ハイウェイオアシス小川の庄のおやきが定番販売されているのをみかけ、購入するとともに、いつもの「知りたい欲“知識欲”」がムラムラと・・。

株式会社小川の庄
長野県上水内郡小川村高府2876
℡0120-231039
□直営店
・縄文おやき村(小川村)
・おやき村大門店(長野市)
・おやき村MIDORI長野店(長野市)
◇地図

★購入商品
切干大根
野沢菜
しめじ野菜
かぼちゃ

 

 おやきは, 長野県北信地方を中心に食されてきた郷土食であることは皆さんご存知。

↓ 縄文おやきラインナップ(小川の庄HPより)

古くは小川村筏が原の縄文遺跡で生産物の穀物でおやきのような食物を食べていたことが調査報告されている。
 小麦粉を練り、中に具材入れ, 焼く、あるいは蒸したりして作るが、大抵は囲炉裏で焼くことが多い。
現在はおやつ的な食べ物として認識されているが、かっては主食としても利用されることがあったという。

 小川の庄の商品加工所は地域内に分散されている。
それぞれの製造所(工房)には名称がつけられ、共通項は“”と命名されていること。
「おやき村」, 「山菜村」, 「農園村」, 「野沢菜村」 等 の工房でおやき、その他が分散製造されている。
コミュニティビジネスの目的「雇用の創出、働きがい、生きがい」を目指し、「60歳入社, 定年なし」という高齢傾向にある過疎地らしい規約がある。

小川村の人々が生涯現役・働きがい・生きがいを持って働ける環境を整備する取り組みが「小川の庄」。

 株式会社小川の庄は主要地方道長野大町線(1995年2月16日供用開始)、長野市と白馬村を結ぶルートで長野オリンピック(1998年)のために建設された道路。

供用開始当時にドライブしたが、それまでも数回、長野市と白馬村間をドライブしたことがあり、その快適な道と時間短縮に感激したものです。
小川村はその長野大町線の中間に位置し、かっては地元で生産される農産物だけでは生活を維持しにくい環境だったため、収入を求めて都市部に移住する人が増えていた。

 こういった過疎地域でのコミュニティ・ビジネスの成功のカギは「熱心でリーダーシップのとれる地元出身のキーパーソンがいる」ということだと思う。

愛知県豊田市足助地区の株式会社三州足助公社もそうだが、株式会社小川の庄も役場出身者が地元の現状を憂い、1986年に小川村の第三セクター方式による村事業で株式会社小川の庄を「こだま会(地元青年の親睦会)」の7人が中心となにり立ち上げている。
創業社長の権田市郎氏は村役場を退職し、自らノウハウ吸収のため地元を離れて、漬物加工会社(株サンエー,長野県中野市)に15年勤務し、農産物加工技術や商品企画・販路拡大のノウハウを身に着けて地元に戻ったというから頭が下がる。
出資金額は㈱サンエーが50%、地元の西山農協(現:JAながの西山支所)が15%で、残りの35%が仲間内から捻出

 小川の庄では「第三セクター方式による新しい村づくり。地域に貢献できる企業」、「集落一品づくり。大きな工場ではなく、お年寄りが歩いて15分の距離に分散設置」、「60才入社の定年なし(当初は78才だったが延長)」を掲げ、事業に取り組んでいるが、現在の従業員は2020年5月末現在のホームページによると78人が雇用されている。
小川村の人口は2,319人なので、全員が小川村在住ではないとしても、かなりの雇用が村内で確保されていることがわかる。
もちろん、原材料を生産する村内の農家も合わせると、さらに存在意義が高くなる。

 成功の要因は自治体や地域の住民と一体になった取り組み、特に高齢者に配慮した「自宅から近い場所に作業所がある」は、働く人だけでなく、生産物を届ける農家にも優位性があるように思う。

設立時は外部委託製造(すなわち下請け)で経営基盤を支え、次第に販路を拡大(百貨店や生協)することにより、経営を安定させ、さらなる事業拡大に取り組むことが可能になっている。

商品開発も生産現場で働く人々や村内の意見や発想を取り入れるだけでなく、納品先の百貨店の現場販売員の意見にも真摯に耳をかたむけ、製造方法を変更したりしている。

食彩品館.jpが一番感心したのは「売価設定の考え方」がしっかりしていること。

創業社長によると、「製造元が35%、問屋が20%、小売りが35%」の荒利益率確保を創業時に想定していて、それを価格設定の考え方としていることに感心。

製造元35%の荒利益から材料費や人件費を差し引いての原価計算がキッチリ行われているというのが興味深い。
さすが、15年、「他人の飯を食う」修行をされてきたと感心。

★株式会社 小川の庄の売上高は7億円。資本金は3,000万円。

1994年に7億8千万円を達成しているものの、その後、増減により7億円を維持しながら推移。

小川村の一般会計20219年度年間予算は30億円。

内、歳入は地方交付税15億3千万円で村税歳入は1億8千万円。

村税歳入予算のうち、個人村民税は0・7%の微増に対し、法人村民税は26・1%の減を見込んでいるといのがちょっと気がかり。

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