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「日本の農業をカッコよく」鈴盛農園(愛知県碧南市)贅沢ポテト。碧南人参寒天ゼリー。しあわせのカラフルにんじん,おばあちゃんの里芋,スウィートキャロット,リリィ,

 塩のチカラで糖度や食味を上げる農園独自の「塩農法」で栽培され、その取り組みで愛知県知事賞を受賞。
これは良いが、有名人や肩書の高い人と知り合いということをアピールするのはちょっとカッコ悪いように思う(個人の感想です)。
若い人で、特に野心家に多いが、宣伝として使っているとすると、時折、逆効果になってしまうこともある。
という余計なお世話を書いた後は、お褒めの言葉がが続く。

 農業に限らず、第一次産業の生産品は一部の相対取引を除いて自分で価格を決めることができないことが多い。
天候等、人では制御できない自然条件によって出荷量や品質に影響がでるため、セリ取引が導入されている。
セリは売り手(市場)が買い手(仲卸や売買参加者)を競争させ、最も高価格者に落札する「競争契約」。
セリは取引時の需要と供給の関係を瞬時に反映し、且つ公開性に優れているという特徴を持つ取引の一つ。
これは昔からあった取引方法ながら、一時期中止されていた時代があることを若い人はあまり知らない。

 我が国の食糧管理制度は1942年の食糧管理法がターニングポイントとなって、それは一度廃止されながらも1995年まで実質的に続く。
食糧管理体制の強化は1939年。当時は日本の植民地であった朝鮮半島の旱魃がきっかけとなっています。
当初は外米輸入や消費規制から始まり、農家への保有米制限(出し控え)や配給制度につながることに。
そして、前述の通り1942年の食糧管理法の制定に至るわけだが、終戦後の1945年11月には廃止となったものの、戦後も長く政府による直接統制が米を中心に続くことになる。
この食糧管理法は1995年という平成の時代まで続くことになるわけだが、政府が決めた流通経路以外の米は、戦後直後は「ヤミ米」として処罰の対象となり、その後も農家から地元農協・連合会・全農という系統流通ルートが正規とされた時代が続く。
この米に関する統制時代は市場の価格決定方式はずっと無視されてきたが、戦後の混乱が続く中で、米以外の青果物については、終戦直後の農業従事者不足が回復した頃より、市場取引、すなわちセリが復活し、出荷が多くなれば価格は暴落し、逆に不作になると価格が高騰するといった具合に、法律が廃止になったこともあり、価格統制の枠から外れて流通するようになった。
結局は農家にとっては一部の幸運な人(もちろん努力はされているが)を除き、経営を安定させることには不向きであるセリという制度に対して、当時、流通革命を起こした量販店業界ではあらたな動きが始まる。
市場を通さずに産地(農家・団体等)と直接、相対で取引をする契約だが、市場が間に入って取引することもあり、これを「予約相対取引」という。
これは商物一致規制(市場に集荷して価格形成するという原則)の緩和が導入され、産地から直接、量販店の物流センターへ納品され、より高鮮度取引が始まるきっかけともなった。

 さらに今度は近隣の農産物直売所(JAグリーンセンター等)に自ら持ち込むことで生産者が自ら価格決定をして販売するケースがだんだん増えるに従い、かっては小売業者間の価格競争だったものが、生産者間における価格競争(あるいは販売価格の自然統一)になる状況も見られるようになった。

 そこで、志の高い農業従事者は「自ら生産し、加工し、販売する“6次産業化”」により、経営を安定させようとする動きが活発化する。
国や自治体からの補助を含めていろいろなバックアップもあるが、基本は農業従事者の志というか努力によってそういった動きが支えられています。

 志や努力がいかに優れていても商品力がないと経営は成り立ちません。
当然、商品を広報したり宣伝したりする能力も必要で、規制がある法律も勉強しておかないと、法律違反やコンプライアンス違反として糾弾されてしまうこともあるかもしれません。
認識不足者は「無農薬」「有機無農薬」「減農薬」などガイドライン違反表示をしたり、「安全・安心」を具体的な事実ではなく、心地よい言葉で代用したりして、意識高い系マダムやお嬢さんを惑わしてしまうことも。

 そこで、今回、購入した鈴盛農園の商品について内容を確認してみました。
前述の通り、偉い人との関係性をアピールしていること(悪いことではないが当方としてはカッコ良いとは思えない)や講演会などのトップ面での“オレ”アピール以外は好印象。

 特に表示には認証の必要な有機JASに関連した表現が少なく、且つ、前面でアピールしていないのは好印象。
たとえば「有機質肥料を贅沢に投入し・・・」という部分の表示もあるが、これを安全性アピールではなく、野菜の美味しさ向上に使っているという表現は大変良いと思います。
安全・安心をアピールするということ自体は悪くないが、どうしても通常農産物の悪口を述べてから、自農場の優越の比較対象としてしまうことになる。
これはカッコ悪い
当方が同様に嫌う量販店の「競合店に対抗して値下げました」くらいカッコ悪い。
(最初に高い価格をつけてしまってみっともないからあわてて価格を修正しましたという後出しジャンケン的対応がカッコ悪い)。

他の通常に栽培された野菜正しい方法(想像だが)で栽培されていて、使っている薬剤や飼料・肥料も(いろいろなリスクがあるにせよ)適正に選定されて、営農指導の下、生産されているはずであり、これの悪口は控えて欲しいという思いを持っています。
差異化(×差別化)表現、特に優越性をアピールする時には比較対象の悪口がどうしてもついてまわる

 ということで好印象なことが多い鈴盛農園社だが、一点だけ不満が。
それぞれの商品の栽培履歴を見つけることができなかったこと。
この農園だけではないが、多くの野菜は栽培履歴が公開されていません。
JAの直売所や一部量販店では栽培履歴の確認をして調達・販売・情報公開しているように、やはり使っている薬剤や飼料・肥料は知りたい。
当方が一番、カッコ良いと思うのは「法律やガイドラインに沿った表示」「栽培履歴の公開」「適正な方法での特徴の明示」といったところがしっかりしていることだと思っています。(個人の感想です)

やっばりこの記事の内容は余計なお世話だね。(#^^#)

鈴盛農園 贅沢ポテト

 

 

アイデアが良い。各品種の形状特徴もメニュー提案もある。
特に形状をイラストで比較する方法が秀逸
ただし、イメージで購入するお客向き。

食彩品館.jpとしてはお試し野菜セット的で大変うれしい販売方法。

 以前、高浜市か碧南市の直売所だったりスーパーマーケットだったりでで購入したことがあるミニキャロットについても商品化や広報の方法が秀逸で感心したことがあります。

・スウィートキャロット リリィ
・しあわせのカラフルにんじん農園名物の7色の人参

で、食彩品館.jpが上記のような見目麗しい野菜よりも興味を持ったのは「鈴盛農園おばあちゃんの里芋」。
これは良いですね。
伝統野菜という、誰が決めたんだ?(愛知県では農政部園芸農産課が担当していることは知っています)的な名称ではなく、「100年」とか「おばあちゃん」とかの具体的な数字や名称を使っているのが好印象。
しかも愛知県伝統野菜の基準の一つである「50年前には栽培されていたもの」よりも古くからの栽培歴をさりげなくアピールしていることもナイスアイデア。

 食彩品館.jpは伝統野菜好きだが、見目麗しい、華やかな野菜よりも里芋やレンコンのような土色をした根菜類を嗜好する。
特に里芋は地味だが、品質により、味や食感の違いが良くわかる野菜。
また、枝豆やとうもろこし等の食味の時間制約が慌ただしい野菜よりも、時間的にスローな利用ができることもうれしい。

 若き農業界のスターに購入することでエールを送りたいと思います。
さらなる活躍を期待するが、偉い人とのつながりアピールや雛壇記念撮影写真のトップページアピールは・・・。
当方の印象としては、写真で紹介された人々とのつながりや表彰・受賞よりも、農園が取り組んでいる仕事の方がはるかに立派でカッコ良いと思っています。

 これはこの農園のことだけではなく、「他人のふんどしで相撲をとる」的な方法での自己アピール(オレってこの人と一緒に写真が撮れるくらい特別な存在なんですアピール)に対して常々感じていることなのでご容赦願います。
<(_”_)>ペコッ

★追記
↓ こちらの碧南人参寒天ゼリー。美味です。

 

 

 

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・鈴盛農園
愛知県碧南市日進町3-65

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