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「本日まで生食」はどうやって決めるんだろうか。「目利き」の判断は正しいのか?。「K値(鮮度の見える化数値)」以外にもいろいろとあるようで。鮮度基準,生食基準,目利き,判断,正確,K値,鮮度の見える化数値,感覚,化学的,物理的,死後硬直,微生物,一般生菌数,大腸菌,自然毒リスクプロファイル,イノシン,HxR,ヒポキサンチン,Hx,ATP関連化合物,核酸関連物質,タンパク質,

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刺身用」「加熱用」という表示を見ていつも思うのは、誰が、どういう基準で決めているのだろうかという疑問。

また、店によっては「本日のみ生食可」という表示もあったりする。

たとえば生牡蠣の生食については、自治体で「生食用かきの規格基準」が策定されていて、それをもとに判断されています。

例えば東京都では、成分規格として
・細菌数が 1g 中 50,000 以下
・E.coli(大腸菌)最確数が 100g 中 230 以下
・むき身にしたものは腸炎ビブリオの最確数が 1g につき 100 以下

さらに、加工基準があります。
・海水100ml当たり大腸菌群最確数が70以下の海域で採取されたもの
・上記以外の海域で採取され100ml当たり大腸菌群最確数が70以下の海水又は塩分濃度3%の人工塩水を用いたもの。

もちろん保存基準もあります・
・10℃以下で保存、生食用冷凍かきは-15℃以下で保存する。
・清潔で衛生的な容器に入れるかあるいは包装する。

 すなわち、高鮮度であっても生活排水の影響の大きい海域で採取すれば生食はできない。生牡蠣は採取した場所によって生食と加熱に分けられています。

 それでは一般の鮮魚類はどうかというと、

・毒がない(自然毒)
・鮮度が良い
・生で食べても美味しい

そういった条件で、目利きがこれまでの経験を元に刺身になるかどうかを決めていることが多いように思われます。

例えば、鮮度を判断するのは以下の方法が採用されている。

・感覚評価法(外観、触感、匂い)
・化学的評価法(ヒスタミン、核酸関連物質割合※K値、その他)
・物理的評価法(硬直指数その他)
・微生物的手法(一般生菌数、腐敗細菌数、病原細菌数他)

当然、寄生虫に汚染されていたり、食べる側が魚アレルギーを持っていれば食すことはできません。
最近の研究で寄生虫のアニサキスは鮮度に関係なく、獲れたての魚の筋肉からも発見されたという報告があります。
以前は漁獲後、鮮度の良いうちに内蔵を除去すれば大丈夫と言われていました。


また、養殖ヒラメに寄生するクドアによる事故も件数は減っているようですが、鮮度を問わずリスクがあります。

消費地、すなわち飲食店や鮮魚店において、経験則で判断するタイプのベテランの方々はこういった最近の情報を知らなかったり、無視したりする人もいるので要注意。
特にジビエや鶏肉の生食については、鮮度とは関係なく寄生虫や食中毒の原因菌となるものが残っている可能性があります。

鮮度が良いから」と生食理由を表現している店は要注意
前述の「鮮度が良くても相応のリスクがある」ということを知らない可能性があります。
(食彩品館.jpにおける“個人の感想・印象・思い込み”です)

 

 刺身にする条件の「鮮度が良い」は漁獲からの時間経過だけでなく、釣・網等の漁獲方法や、活〆の有無、水揚げ後の保管管理等、いろいろな情報を元に目利きが魚の状態を見ながら経験則で判断しているわけですが、それでは客観的な判断基準はどうかというと、前述の鮮度を判断する方法の中では、化学的評価法の数値基準に「核酸関連物質のK値」で判断する方法が有名です。

 魚の鮮度や旨みを化学的に分析する研究は過去より継続され、特に鮮度に関しては、漁獲後の魚のATP関連化合物(核酸関連物質)の変化の過程に注目し、それらの物質の割合を数値化して、鮮魚が刺身にできるのかどうかを見極めるという研究が有名。

死後の魚のATP関連化合物は以下のように変化することがわかっています。

★アデノシン三リン酸(ATP)→アデノシンニリン酸(ADP)→アデニル酸(AMP)→イノシン酸(IMP)→イノシン(HxR)ヒポキサンチン(Hx)

 これらの変化数値を以下の式で計算したものが「K値」。 

K(%)=(HxR十Hx)/(ATP十ADP十AMP+IMP十HxR十Hx)X100

すなわち

K値=(HxR + Hx)/(ATP関連化合物計)/100

簡単にいうと、ATP関連化合物(核酸関連物質)の変化の最後の方の、イノシン(HxR)ヒポキサンチン(Hx)割合が少なければ、変化が進んでいない、すなわち鮮度劣化していないと判断することができる。

このK値活〆後は5%程度で、その後20%を超えると生食不可となるようです。
そしてK値が60%までは加熱可食が可能。それ以上は喫食不可

経験則で決めている目利きといっても人間なので、迷った場合はどうするのかとか、その方の判断基準を知らないと、「本当に大丈夫か?」と心配になることでしょう。
でも、K値を計測していれば客観的なデータなのでより安心することができます。

 K値以外では細菌数が大事な判断指標となりますね。
スーパーマーケットの多くでは品目別に細菌数の基準を策定し、時折、販売商品や調達商品を抜き取りして検査しています。
当然、抜き取りなので限界はありますが、やっていないよりははるかに安心して利用することができます。

 話がそれますが、真空調理・低温調理の安全性について議論していた時に「(抜き取り検査の)検査証明書がある」と食彩品館.jpにすごんだ飲食店関係の方がいましたが、全量検査ではなく抜き取り検査では安全性を高度に担保したものとはいえないと思っています。
前述の通り、やっていないよりは安心という程度と割り切っているから。

 それではいちいちK値を計測しなくちゃ安心できないのでしょうか?。

 「目利き」が自然毒リスクプロファイルや食中毒事故事例等の正確な情報を知っていて、且つK値判定などの意味や、鮮度劣化とATP関連化合物の変化の仕組み等を理解した上で、自身の経験則を活用して判断してもらうだけで結構です。
もちろん、料理の出来栄えや美味しさよりも食の安全第一という立場で判断できるという前提で。

 知人の鮮魚道50年の「目利き」は、入荷したトロ箱の中から「コレ買ってきな」と、上物を選んでくれます。
全量、客観的データを計測しながら食べることは難しいという当たり前のことを前提に、最終的には「目利き」との信頼関係に尽きるという、話で終わってしまう
(^ー^)。

馴染みの店では「目利き」との信頼関係も築けるが、一見同士の場合はどうでしょうか。
会話が大事ですね。
刺し障りのない話から深い話まで持ち込めるかは制約があってなかなか難しいが、できるだけ飲食店では仕事の邪魔にならない程度に会話するようにしていました。コロナ禍までは。

 気兼ねなくいろいろと聞けるようになるのはいつのことだろうか。

◇通常期でもネタのことを聞いたら思いっきり怒られた話 ↓
2016/05/26タカマル鮮魚店セブンパークアリオ柏

 一生、言うつもり

◇生食用・刺身用と表示された精肉

 

 

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