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三遠南信の旅。向原蓮の池(長野県下伊那郡売木村)蓮,睡蓮,カルガモ,クロイトトンボ,マユタテアカネ,ミスジチョウ,ノウゼンカズラ,フジ豆果,ミナミメダカ,キタノメダカ,特定外来種,カダヤシ,絶滅危惧種,北日本集団,東日本型,ハイブリッド,核DNA,ミトコンドリアDNA,

☆2020/08/06の愛知県緊急事態宣言前に訪れています。

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 温泉に行くついでに何か美しい季節の花でも眺めるかと立ち寄ったのが「向原蓮の池」。

7月下旬から8月中旬に開花する蓮と睡蓮が目当てだが、駐車場もなく、観光地という雰囲気ではない。

道路脇の若干のスペースに駐車して蓮池に入る。

 蓮池としては愛知県の立田村周辺の規模と比べるとかなり見劣りするため、ちょっと拍子抜け。

でも蓮や睡蓮の間を行き来するカルガモトンボチョウ、そして絶滅危惧種ミナミメダカなどいろいろと登場してくれて結局、1時間以上、この狭い蓮池で滞在することに。

もともと、休耕田を利用した蓮池のためアートビオトーフのような観光スポットではないが、ビオトープの楽しみを知っている人にはお勧めする。

向原蓮の池
長野県下伊那郡売木村200-1
◇地図

↓ 蓮の花は少ない。

↓ 睡蓮の花も少ない

↓ 池のほとりのノウゼンカズラ

↓ フジの豆果

↓ 蓮池の中をつがいで泳ぐカルガモ

↓ クロイトトンボ

↓ マユタテアカネ

↓ ミスジチョウ

↓ ミナミメダカ(絶滅危惧種)

人工池なので住んでいるメダガが売木村在来種のミナミメダカとは限らない

絶滅危惧Ⅱ類となっている最大の理由は生息地の圃場整備など自然環境の変化や農薬等の薬物などの影響だが、外来種である「カダヤシ」や他地域からの野生メダカの放流、そして養殖メダカの廃棄による交雑なども問題になっている(らしい)。

日本におけるメダカ種の遺伝的攪乱の原因の多くは観賞用メダカの品種である「ヒメダカ」の放流・遺棄・混入であり、飼育者が手に入れたヒメダカを飼育継続することができずに、かといって殺すこともためらわれた結果、近所の小川に捨てることや、養殖産池での換水時の逸出が想定されている。

 ヒメダカによって在来種メダカその他との交雑種が生まれ、遺伝子に影響しているという研究報告がある(2017年日本水産学会誌,2016年全国のメダカ種群におけるヒメダカによる遺伝的撹乱に関する研究等)。
北海道から沖縄までの105地点974個体について遺伝解析したところ、約半数の50地点で総個体の1/3にあたる288個体で確認されたという。
そのうち、48地点、260個体は「ヒメダカ」由来と考えられ、遺伝的攪乱の主品種となっていることが確認された。
多いのは都市部(東京・大阪)と養殖地(愛知・奈良)ということで、調査地以外でも遺伝的攪乱の発生が予想されている。

 ダツ目メダカ科のメダカ種群(Oryzias latipes species complex)は4種あり、そのうちの2種が日本で生息しています。

もともと、日本のメダカは1種とされていたが、2011年の研究報告により、日本海側の「キタノメダカ(Oryzias sakaizumii )」と太平洋側の「ミナミメダカ(Oryzias latipes)」の2種に大別されることがわかった。

さらに「キタノメダカ」は2つの、「ミナミメダカ」は9あるいは8の地域集団に分かれることが確認されている。
キタノメダカ
・北-1 北日本集団
・北-2 ハイブリッド集団
ミナミメダカ
・南-1 東日本型
・南-2 山陰型
・南-3 瀬戸内型
・南-4 北部九州型
・南-5 有明型
・南-6 薩摩型
・南-7 大隈型
・南-8 琉球型

 メダカは子供の頃から田んぼや近くの小川で普通に見られる魚で、今でも我が家の近所の用水で見かける。
ところが、2013年に環境省版レッドリストで「絶滅危惧 II 類」に指定され、世間を驚かせたことは皆さん、ご存じの通り。

前述の通り、生息環境の変化や外来種による在来メダカの駆逐等いろいろな原因はあるが、「絶滅危惧II類」になるほど減っているとは思ってもみなかっただけに当方もかなり驚いた。
それでは近所で見かけるメダカは日本固有種のメダカではないのかというと、遺伝子を確認しないとよくわからないという。

前述の遺伝子攪乱の原因の一つとされた「ヒメダカ」は在来種のメダカから黄色変異を固定化した品種で、観賞魚やあるいはより大きな肉食魚・動物のエサとして各地で大量に養殖されています。
このヒメダカを逸出したり放流したりということが発生するということも前述の通りだが、中には善意で放流していることもあるという。
絶滅危惧種対策や理科の授業等で使用されたヒメダカの放流がそれである。

ヒメダカはクロメダカとの集団形成や配偶者選択において、ヒメダカの体色による差異は認められなかったという研究報告もある(2011年)。
その研究において、クロメダカ(通称、ここでは野生種の意味で表記)とヒメダカは容易に集団を形成し、交雑も用意に発生すると報告している。

その交雑した固定の体色はクロメダカ同様になるため、外見は野生種と区別がつかないという。

 ミトコンドリアDNA解析により、各地の遺伝子攪乱が報告されているが、当方がショックだったのは「養殖クロメダカ」には色が黒いヒメダカも含まれていて、それが放流されて野生種と交雑するという研究報告。
今後はヒメダカだけでなく、作出されたメダカの自然放流の抑止方法や遺伝子攪乱状況についての研究も必要である(らしい)。

 尚、この記事で紹介した研究報告については当方が個人的な覚書として調べたものであり、また、記事が学術論文でもないため、あえて引用研究者の名前は出していないが、報告された年代のみは付記した。

 最後に、今回、池でメダカを採取しなかった理由として外来種である「カダヤシ」の存在がある。
絶滅危惧種Ⅱ種として指定されている野生メダカ(当池の場合は“ミナミメダカ”)であっても個人的な採取と飼育は可能。もちろん、保護されている場所もあるので自治体への確認は必要だが。
ただし、外来種の「カダヤシ」は持ち帰り等の移動は禁止されているので要注意。
カダヤシはボウフラを捕食するということで、全国各地に移入されたところ、在来メダカを駆逐してしまい、「蚊絶やし」として移入された「カダヤシ」が「メダカ絶やし」になってしまったという。
特定外来種タガヤシ(環境省資料)
メダカとの区別する方法はいろいろあるが、尾びれ付け根の黒い斑紋形状で区別する方法が一番、わかりやすい。でも、犯罪に手を染めるリスクがあるので、野生メダカの捕獲はあきらめることに。

「やはり野に置け野生めだか」

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