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手塚治虫展(豊橋市美術博物館)医師国家試験に合格した息子に「自分の好きな道に進みなさい」とマンガ家になることを勧めた母親が存在したことによって我々は多大な恩恵を受けた。

 学歴詐称というほどではないが、永らく手塚治虫氏は大阪大学医学部を卒業していたことになっていた。
自身の経歴をつじつま合わせしたり、デビュー年齢を実際よりもサバを読んだりしていたことが面白く興味深い。
氏は大阪大学附属医学専門部(5年制)を1951年に卒業し(1年留年)、大阪大学医学部附属病院で1年間インターンを経験する。
そして1952年に無事、医師国家試験に合格し翌年、医師登録(昭和28年9月18日医籍登録第150476号)。
その後、本格的なマンガ家としての活動のため同年、上京する。
1947年新寶島,1948年ロストワールド,1949年メトロポリス,1951年来るべき世界と初期の名作を次々と発表している時に医学の勉強も同時にこなしていたということに驚く。

 手塚が医者になるのをやめ漫画家一本にした理由は、手塚の母による「自分の好きな方をやりなさい」というアドバイスだったことは有名。

これが自分の立場だったらどうだろうか。

今のように、マンガ家が億単位の稼ぎを得る時代ではない。
もし、母親が強硬に医師の道を進ませようとしたら。
ジャングル大帝は存在したが、鉄腕アトムもブラックジャックもなかったかもしれない。
以前、宝塚の手塚治虫記念館の訪問記事でも紹介したが、朝日新聞の天声人語での追悼文。
~日本人は、なぜこんなにも漫画が好きなのか。電車のなかで漫画週刊誌を読みふける姿は、外国人の目には異様に映るらしい。(中略)彼らの国に手塚治虫がいなかったからだ。~
我が家では手塚治虫のマンガは課題図書で子供達には必読とした。
もちろん、巨人の星やあしたのジョーなども同様だったが、手塚治虫のマンガは別格だった。
長女は小学生の時に「手塚治虫は天才だ」と言ったのを今でも覚えている。
そういった美談だけでなく、当方が好きなのは世俗的なというか人間的な、神様ではない手塚治虫の逸話。
例えば、若い才能に対する嫉妬や冒頭の年齢詐称や学歴のこと等々。
偉人は何か劣っている部分がないと大衆には支持されない。
手塚治虫氏でさえそういった部分があることがなんとなく嬉しい。
 冒頭の「大阪大学医学部卒業」について、実際は大阪大学附属医学専門部卒業であり、初期に経歴として自称していた「浪華高校」「大阪大学予科」に在籍していたことはなく、旧制北野中学から専門学校である「大阪大学附属医学専門部」に進学したというのが事実のようです。
 
 今回の展示の中ではその医師免許証もあった。

戦中・戦後の特殊事情で医者への登竜門は大学医学部だけでなく、臨時医学専門部を設置して医者の育成をしていたということであり、手塚治虫氏が医者の免許を持っているという事実は否定しようがない。
しかも「異型精子細胞における膜構造の電子顕微鏡的研究」論文で博士号も取得している。

 今回、豊橋市美術博物館の手塚治虫展を訪れての感想は「我が国に手塚治虫がいてよかった」であり、こういった特別展示をしてくれる豊橋市に感謝あるのみ。

 手塚治虫は偉大だ。

★記念品
・家族が好みそうな登場人物をモチーフとしたクリアファイル。

・展示会図録
欠品していたので後日、郵送してもらった

◇資料

 

 

 

 

 

 

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豊橋市美術博物館
愛知県豊橋市今橋町3-1(豊橋公園内)
電話番号 0532-51-2882
◇手塚治虫展
10/3(土)~11/23(月・祝)  月曜休館(11.23は開館)
   9:00-17:00(初日は正午開館/入場16 :30まで)
会場:豊橋市美術博物館 1階1~3・特別展示室
主催:豊橋市美術博物館・中日新聞社
企画制作:株式会社手塚プロダクション 制作協力:東映株式会社
協力:豊橋鉄道株式会社・とよはしまちなかスロータウン映画祭・
「TEZUKA2020」プロジェクト・キオクシア株式会社
◇「ベレー帽&メガネ」観覧割引
・当日、作家のシンボルであるベレー帽とメガネをつけて「手塚治虫展」にご来場された方を対象に観覧割引を実施。
・一般・大学生 1000円 → 800円
・小・中・高生  500円 → 400円

 

 

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