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那智黒石(なちぐろいし)は商標登録されている三重県熊野市神川町で採掘された黒色珪質頁岩。熊野市七里御浜産の「那智石」「白那智石」との区別について解説

 知っている人は知っているが、「那智黒石」と「那智石」は違います。
きちんと定義が決まっているのは「那智黒石」で、経済産業省 特許庁にて「商標登録第6225396号 那智黒石(なちぐろいし)」と紹介されている。
権利者
熊野那智黒石協同組合(三重県熊野市木本町171)
指定商品又は指定役務
過去に三重県熊野市より和歌山県那智地方に流れ着き、熊野詣の証として拾われたこと及び和歌山県那智地方における熊野詣の土産として販売されたことに由来する三重県熊野市神川町で採石される黒色珪質頁岩の原石及びその原石を加工して生産された石材

 すなわち熊野市神川町産の那智黒石が正式名称として使用可能。それ以外は那智黒石として表示することはできません。
登録からまだ日が浅いこともあり、ホームセンターでも三重県熊野市神川町ではない産地の庭石に対して「那智黒石」と表示されて販売しているのを見かけます。
↓ 事例(2020年11月~12月私的調査)

 那智黒石は採取された岩石そのものと、その石を加工成形した商品に命名されている。
例えば、原石そのものから加工する硯であったり、碁石であったり。
熊野から那智勝浦周辺で見かけることのある八咫烏や鯨の置物も那智黒石の粉末成型加工品。
きちんとした成形加工商品には「特許
第862620号」というシールが貼られていて、その製品は那智黒石粉末とエポラック樹脂を混合して作られている。

中には樹脂だけだっりするものもあるらしく、加工成形品購入時は特許シールの確認をすることをお勧めする。

 

それでは庭石として使われる那智石との違いはなんなのかというと、一つは産地であり、もう一つはあまり知られていないが材質のことも。
那智石」は三重県熊野市の七里御浜で「拾い子」と呼ばれる方々が流れ着いた黒っぽい石を採取したものを言う。
すなわち、那智黒石が熊野市神川産の黒色珪質頁岩に限定していることに対して、那智石は熊野市七里御浜に流れ着いた「黒っぽい石」の総称であることを岡室碁石株式会社様より情報提供していただいた。
同社の製品「白那智石」と「那智石」を20年ほど前に道の駅で購入して以来、ずっと気になっていたので、今回、あらたに那智石を購入するにあたって同社へ問い合わせて初めて“那智黒石”と“那智石”の違いを知るに至った次第。

 「白那智石」は皇居中庭に敷かれているが、それを施工業者や関連サイトでは「和歌山産」と紹介されている。

2010/07/24白那智石きのくに(三重県熊野市)

実際は三重県熊野市の七里御浜で拾い子さんにより採取された白っぽい石のことのようだが、4,800㎡(1,452坪)に敷き詰められた白那智石は約860トンで、岡室社より納品されていることから、和歌山県産ではなく、三重県産と推定。

 北山川(三重・奈良・和歌山県境)から流れた石は、奈良県十津川と合流し熊野川となる。
そして熊野川・新宮川を経由して太平洋に至る過程で那智黒石は丸くなり、そして美しい濃い灰色の石となる。

 

熊野三山である那智山を参拝した石と言われるが、那智石は実際のところ、海流の影響で那智へはたどり着けない。
同じく熊野三山である速玉神社(新宮市)の横を新宮川(熊野川)が流れているため、速玉神社は参拝していると思う。!(^^)!

はるぱる流された大多数の石は新宮川河口から北上し、七里御浜にたどり着く。
七里御浜で許可された「拾い子」さんが集めた小石は「御浜石(みはまいし・おはまいし)」で、その中に「那智石」「白那智石」がある。

この那智石が水に濡れると黒くなり、その色は石毎に微妙に異なる。
美しい。

 我が家の庭には「那智石」が80kg程、「白那智石」は20kg程、敷いてある。
白那智石は皇居中庭に敷き詰められたものと同じ。
勤労奉仕で皇居中庭に入った方々の話によると「貴重なので絶対に持ち帰らないように」と注意されるほど貴重な石が我が家にあることの不思議。

このことを2021年の年頭記事として記録しておきたい。

◆三重県熊野市神川町

↓ 那智黒原石(神川)


↓ 中流域の小川口(熊野市紀和町)

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 ↓ 那智黒石 原石。丸いのは碁石の削り加工前の石

↓ 七里御浜の那智石と白那智(20年使用)

↓ 那智石を削り出して作られたホンモノの那智黒石の硯

↓ 那智黒石の碁石を見立てて作られた那智黒飴

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七里御浜

↓ 採取は禁止なので写真のみ撮影

↓ 七里御浜でサンマ丸干し製造

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↓ 熊野特産「新姫」撮影日2012/08/12

↓ 撮影日2014/05/18 北山村特産「じゃばら」

 

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