氷河。
読んで字のごとく氷の河で、降り積もった雪が氷となって、山岳地帯では重力によって、大陸では自重圧力によって移動し続けています。
定義は「重力によって長期間にわたり連続して流動する雪氷体」。
どうやって氷河の氷が生成されるのかというと、降雪した新雪が、さらに降り積もった雪の重みで圧雪され一定の密度になると「フィルン(firn)」となり、これが越年雪渓(すなわち万年雪)として年中溶けない氷となります。
数値的には新雪の密度は約0.05~0.15g/㎤で、さらに上からの降雪の重みで圧せられ、結晶間の空気が抜け出て密度が0.5g/㎤以上になると「フィルン(firn)」。
この「フィルン(firn)」がさらに圧されて密度が約0.83g/㎤を超えると「氷河氷(ひょうがごおり)」となり、氷の結晶の塑性変形と氷河の底面滑りによって流動します。
日本では長く氷河はないと思われてきたが、1999年に立山の御前沢雪渓、剱岳の三ノ窓雪渓と小窓雪渓が発見され、2012年に学術的にそれが氷河と認められました。
2013年には剱岳西面の池ノ谷右俣雪渓が発見され、立山の氷河とともにそれまでの氷河の南限であったとされていたカムチャッカ半島から大きく南限緯線が移動。
現在では以下の7件の氷河が日本で発見されているようです(2019年時点)。
◇日本の氷河
・御前沢氷河 – 立山(富山県)
・内蔵助氷河 – 立山・真砂岳(富山県)
・三ノ窓氷河 – 剱岳(富山県)
・小窓氷河 – 剱岳(富山県)
・池ノ谷氷河 – 剱岳(富山県)
・カクネ里氷河 – 鹿島槍ヶ岳(長野県)
・唐松沢氷河 – 唐松岳(長野県)
いずれも「谷氷河」と呼ばれる小規模な局所氷河ですが、世界規模で見ると、「氷床」と呼ばれる南極やグリーンランドの広域氷河は、その2つだけで世界の陸地面積の約10%を占め、氷河全体においては2つで約97%を絞める。
そういった大規模な氷河ではなく、「山岳氷河(懸垂氷河,圏谷氷河,谷氷河等)」に分類されるヨーロッパアルブスで最大の氷河はアレッチ氷河。
全長23.6kmとなっています。
↓ アレッチ氷河(ユングフラウヨッホ,2019/6/撮影)
前述の通り、小規模な「谷氷河」で、シャモニー地区でグーグルマップに掲載されている氷河のうち、食彩品館.jpが知りえた氷河は下記の通り。
また、氷河名と画像については「たぶんそうだ」という程度なので信用して流用・転記しないで欲しい。
◇位置図
・タキュール氷河(Tacul)
・タコナ氷河(Taconnaz)
・ボッソン氷河(Bossons)
・ビオナセ氷河(Bionnassay)
・ジュアン氷河( Géant)
・バレーブランシュ
・レショ氷河(Leschaux)
・タレフレ氷河( Talèfre)
・メール・ド・グラス(Mer de Glace)
・アーシャンティール氷河(Argentière)
・トゥール氷河(Tour)
その他、沢山の谷氷河があり、たまたまブラン・ド・レギュー(エギュードミディロープウェー中間駅)で「Pelerins 氷河」「Blatiere氷河」「Nantillons氷河」等、さらに小規模な氷河を見ることができました。
・Pelerins 氷河
・Blatiere氷河
・Nantillons氷河
残念なのは「メールドグラス氷河」の核心部を見ることができなかったこと。
ただし、メールドグラスにつながる支流的位置づけである「レショ氷河」や「ジュアン氷河」を確認できたので、氷河学的な意味でのメールドグラス氷河は見たことになるような気がする。
例えば、シャモニーから登山電車で行くモンタンヴェール展望台から見えるのはメールドグラス氷河の核心部で、これは標高2400mから始まり約7kmの長さとなっています。
しかしながら、氷河の科学的(氷河学,glaciology)データ上は「標高3600mを源頭とし、全長12km」となっているようです。
以前はシャモニの街から見ることができたメールドグラス氷河の現在の末端位置は1480 mで街から眺めることができないのが残念。
今回、私達が訪れた時期(2019年6月末から7月初旬)のヨーロッパでは記録的な熱波により、気温が40℃超が多くの地域記録され、当地フランスでは史上初の45℃超えを記録。(45.9℃)。
そのためか、ダン・デュ・ジュアン(イタリア・フランス国境のモンブラン山群)では突然、湖が登場したという報道があった。
↓ Bryan Mestre氏,2019/06/28撮影↓
メールドグラス氷河に限らず、こういった地球規模での気温上昇傾向によって今後、小規模な谷氷河が消滅、あるいはし、簡単には見ることができなくなるかも知れない。
よって、記録として2019年7月の氷河のことを記事にした次第。
最後に、スイスアルプスの氷河の状況も記しておきたい。
・2017年の氷河面積は890㎡kmで、150年前に比べて半減
・2050年にはアルプスの氷河面積が現在より半減予測、2100年にはほぼ消滅し、山頂付近に氷が散見する程度になる(スイス連邦工科大学チューリヒ校)。
↓ シャモニから眺めるアーシャンティール氷河
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↓ ゴルナーグラート周辺の氷河
↓ ユングフラウ周辺の氷河
↓ ディアボレッツァ周辺の氷河
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