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この記事の前段として ・世界農業遺産茶草場農法の実践地を訪ねる。その1.千框(せんがまち:静岡県菊川市)の棚田を眺め、次世代に継承すべき伝統的な農業の「システム」について思いを馳せる が、あります。未読の場合はそちらから読んでいただきたくことを強く推奨します。
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自然との共存をテーマにした棚田風景を見た後は、目的の「茶草場(ちゃくさば)」へ。 「世界農業遺産茶草場農法」の商品を購入したのは三重県津市の赤塚植物園。たまたま来園されて試飲販売されていた鈴木知一さんのお茶を試飲し、そして農法のことを知りました。 <参考記事> ※画像はすべてクリックで拡大表示 ・赤塚植物園(三重県津市)訪問記
「世界農業遺産」というのは 世 界重要農業遺産システム(Globally Important Agricultural Heritage Systems:GIAHS)。 世界の農林水産業の振興を担うFAO(国際連合食糧農業機関)が認定し、農業のシステムを評価するもので、『社会や環境に適応しながら何世紀にもわたり発 達し、形づくられてきた農業上の土地利用、伝統的な農業とそれに関わって育まれた文化・景観・生物多様性に富んだ、 世界的に重要な地域を次世代へ継承すること』を目的として、2002年(平成14年)に創設。 2014年8月現在、世界では13カ国31地域が認定を受けているようです。 日本での登録認定はというと、 ・2011年 「トキと共生する佐渡の里山」「能登の里山里海」 ・2013年 「静岡の茶草場」「阿蘇の草原の維持と持続的農業」「クヌギ林とため池がつなぐ 国東半島・宇佐の農林水産循環」 以上の5件が登録されています(2015年現在)。 その他、候補地として「岐阜県長良川上中流域」「和歌山県みなべ・田辺地域及び宮崎県高千穂郷・椎葉山地域」が登録に向けて活動をされています。
認定基準は①食料と生計の保障、②生物多様性と生態系機能、③知識システムと適応技術、④文化、価値観と社会組織、⑤優れた景観と土地・水管理の特徴の5つ で、さらに歴史的重要性、現代的重要性、脅威と課題、実際的な考慮、アクションプランの要約等も合わせて評価され、認定を受けることになります。
それでは富士山等の登録で有名な「ユネスコ世界遺産」との違いは何でしょうか。 ◇ユネスコ世界遺産 ・歴史的建築物、遺跡、自然などの不動産を登録し保護する ◇世界農業遺産 ・次世代に継承すべき伝統的な農業の“システム”を認定し、その 保全と持続的な活用を図る。
形に見えるものがユネスコ世界遺産。形だけでなく、運営されている手段・手法等のシステムを認定し次世代に継承するのが世界農業遺産といえそうですね。 ↓ こちら詳しい 農水省農業世界遺産パンフレット
そこで、どこへ行けば「茶草場」を見ることができるのでしょうか。 世界農業遺産として認定された範囲は掛川、菊川、島田、牧之原各市、川根本町で、遺産として認定された面積としては約297ha。一番多いのは掛川市で続いて菊川市。この両市で全体の72%を占めることになります。
「伝統農法」と言っても静岡県では普通に、そこかしこで行われていることで、現在でも鹿児島県が、30年程前には伊勢茶(三重県)、宇治茶(京都府)、八女茶(福岡県)でも行われていたようです。 簡 単に言うと、茶畑の近くの草が自然に生えているところ(茶草場)からススキ・ササ等の草を刈り取り、それを乾燥させて茶畑に敷いたり、茶木の根元に入れて 土作りをしたりする農法ということになります。特殊な栽培方法ではなく、静岡県では慣行農法と言えるほど普通なことのようです。 効果としては茶園土壌の保湿及び保温、土壌の流出を防止、雑草の抑制、そして一番重要なことですが、堆肥となって土中の微生物の繁殖を助け土壌改善効果が期待できます。 つまり健康な土壌を維持することができ、美味しいお茶を生産し続けることが可能となるわけです。 お茶が健康に育つということは、病害虫の発生の抑制にもつながるということで、化学的に合成された農薬や化学肥料といった人工的に作られた資材の投入も抑制できます。 そして、それが周囲の環境に好影響を及ぼし、ヒトを含む生き物や植物にとって大変好ましい環境を形成することができ、その環境を維持継続することができる農法ということになります。 静岡県のお茶の産地ではそういった茶草場を茶畑の周囲に残しておくということが普通に行われていて、例えば、掛川市東山地区の茶畑と茶草場の面積の割合は10:7と言われています。
ということで、「どこへ行けば茶草場を見ることができるのか」の答えは「(認定地域内だったら)そこら中で見ることができる」ということになります。 ↓ 島田市金谷の見晴らしの良い場所で撮影した画像です。
今まで、何も知らずに通過していた場所、草がボウボウと生えている場所が伝統農法である「茶草場」であったという驚き。久々に感動しましたよ。
先人からの数多(あまた)のご苦労があったとはいえ、手間のかかる作業と茶草場維持が 『普通に行われている』ということが素晴らしいことだと思います。==================================
↓ 金谷~掛川周辺の茶畑
=================================【その1】・世界農業遺産茶草場農法の実践地を訪ねる。その1.千框(せんがまち:静岡県菊川市)の棚田を眺め、次世代に継承すべき伝統的な農業の「システム」について思いを馳せる
【その2】・世界農業遺産茶草場(ちゃくさば)農法の実践地を訪ねる。その2.伝統農法が普通に継承されていることの不思議について思いを馳せる
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