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和名 ワサビ
アブラナ科ワサビ属
学名 Eutrema japonicum (Miquel) Koidzumi, 1930
シノニム Wasabia japonica 

学名を「Wasabia japonica」とすることが多いが、現在ではWasabia属は独立した属とはみなされていないので、Wasabia japonicaは「シノニム(別名)」扱いになっています。要注意

農林水産省「特用林産物生産統計調査」2018年によると、わさびの根茎の生産量は全国で599トン。(葉柄は1,481トン)
県別上位は以下の通り。
生産量
静岡県 247トン(41%)
長野県 221トン(37%)
岩手県   34トン( 6%)
全国計 599トン

 わさびの根茎の生産は静岡県と長野県で全国の78%占める。
岩手県は根茎よりも葉柄の方の生産量が多く、450トンを生産し、長野県の581トンに次ぐ。
根茎では全国1位の静岡県は葉柄の生産は少なく、岩手県の半分の222トンで全国3位となっている。

 「日本三大わさび」は、匹見わさび(ひきみ,島根県益田市)、安曇野わさび(長野県安曇野市)、有東木わさび(静岡市)とされるが、島根県のわさび根茎生産量は少なく、わずか4トンで全国構成比は0.7%しかない。
これは匹見わさびがかって、年間300トン(根茎・葉柄)程の生産量があり、静岡県と2大産地であった名残。
よって、「幻のわさび」として珍重される。

ちなみに匹見わさびは根茎の生産量よりも葉柄の方が多く、47トンを生産するが、葉柄の全国構成比としては3%でしかない。

 わさび栽培の発祥地は2018年に「静岡水わさびの伝統栽培」として世界農業遺産に認定された静岡県有東木(うとうぎ)地区。

「わさび栽培の発祥の地」で検索すると有東木地区に3ケ所ヒットします。

・わさび栽培発祥の地有東木「うつろぎ
(地場農産物直売と蕎麦店)
静岡県静岡市葵区有東木280-1
℡054-298-2900
◇地図()

 ところで、わさびは前述の「根茎」と「柄」にわかれるが、栽培場所によっての区分としては「水わさび」と「畑わさび」がある。
水わさびは根茎が500トンで葉柄が731トン。
畑わさびは根茎が98トンで葉柄が750トン。

 気の利いた蕎麦店では生わさびの根茎を蕎麦と一緒に提供してくれるが、根茎わさびの84%が水わさび、すなわち、水栽培と称する湧き水や渓流を引き込んだ場所で栽培されるワサビである。
冷涼で山間部の北斜面を利用されることが多いが、水が濁らない場所ということで、湧水地に近い場所となることが多い。

 生わさびの高級品ともなると、1kgあたり2万数千円にもなるという。
料理のわき役でありながら、メインの材料よりも高価ということもありそうだ。
さらに、寿司店でもそうだが、わさびは基本、無料。
よって、高級わさびを使用する店はそう多くはない。
逆に、高級わさびを使用する店は店主の心意気が違うということが言えると思う。

 わさびの品種はいくつかあるが、産地同様に三大品種というのもあり、「真妻」、「だるま」、「島根3号」。

全国一の大産地である静岡県におけるメイン品種は「真妻(まずま)」で、元は和歌山県にある真妻村(現 印南町)が品種発祥地。

苗から育てて約1年6ケ月から1年10ケ月で出荷できるようになる。

水わさびの栽培方法としては「いしうえ」と「ちょんうえ」、そしてパイプを使って茎を守る方法などがある。
「いしうえ」は高級わさびを育てる農家が採用していて、苗の上に石を置いて育てるため、ワわさびは上には伸びずに横に這うように伸びる。その間、ずっと清流の中に沈むため鮮やかな緑色のわさびを作ることができる。
「ちょんうえ」はちょこんと乗せるように植えることから命名された。

 栽培地に適した場所は豊富な湧き水があり、強い日差しがあたらない、そして浸透性が良い土壌。
よって、成長や天候・水温に合わせて、水量の調整、土の投入、日よけの設置等、手間がかかり、状況を見極める経験と判断力も求められる。
苗は優良なわさびのクローン苗を専門会社に依頼して製造してもらうなど、製造原価も高い。

 生のわさびは辛くはないが、これをすりおろすと細胞が壊れて酵素であるミロシナーゼが働く。
わさびに含まれているシニグリン(カラシ油配糖体)がミロシナーゼに反応して辛味成分であるアリルイソチアネートが生成される。

このミロシナーゼを多く働かせるため、ゆっくりと円を描くようにして、鮫皮のおろしを使って肌理細かくすりおろすのがコツ。

曰く「わさびは笑いながらすれ」。

↓ 長次郎 鮫皮おろし

 わさびの根茎は先端よりも茎側の方が細胞が新しいため、普通は葉のついていた茎側からすりおろすが、1本を何回かにわけて使う場合は先端からすりおろした方が持ちが良いとされる。
よって、1本そのまま自分のモノにする場合は茎側から、1本を分け合って使う場合は先端から擦る。
「オイオイ誰だよ、先端から擦っているヤツは・・」とか言って、途中から擦る側を勝手に変えないように(笑)。
↓ 1本使いまわし(京都 かね井)

↓ 1本提供、残ったら持ち帰り。そじ坊(アピタ知立店)の生わさび

 

 良いわさびかどうか。

まずは姿形が整い、緑色が濃く、紫色の茎

おろした時の色、香り、粘り、辛み、甘み

特に最後の“甘み”重要とする寿司店の上客がいる。
すりおろした時の鮮やかな緑色、ツンとくる上品な香り、そして程よい粘り。
最後にやってくるかすかな甘み。
これを楽しむため、寿司店では高級生わさびを別皿にわさびだけを持ってもらう常連さんが羨ましい。

わさびはおろした時から数分が命。
さっさと食べましょう。

↓ 生わさび(長野県ハイジの里)

↓ 生わさび(静岡産)

↓ 葉わさび。刺身のツマとして。

↓ 我が家のわさびの葉・蕾・花

↓ 道の駅 天城越え・わさびの里

 

 

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 以上が前段で、本題は「本わさび」の加工品の話。

毎回、自宅で生わさびをおろして使うのは面倒という場合でも、できるだけ美味しいワサビをいただけるようにしたい。

今回、購入したのは長野県の加工会社が製造した練りワサビ。
(食彩品館.jpでは原材料を「わさび」とひらがなで、加工品を「ワサビ」とカタカナで使い分けています)

●㈱はやし
長野県下伊那郡喬木村280
℡0265-33-1111
国内産 本わさび100%使用。
名称 おろしわさび
原材料名
 わさび、糖類(水飴・ぶどう糖果糖液糖)、食塩、セルロース、香辛料、環状オリゴ糖、増粘多糖類、酸味料、着色料(黄4、青1)

西洋わさび、粉からし等は一切使用しておりません」とわざわざ表示。

本わさび以外の辛み材料は使っていないが、着色料は黄色4号と青色1号が使われています。
黄色4号はタートラジン (Tartrazine)という物質で食用タール色素に分類される合成着色料。食品添加物としてはちょっと気になる物質。
また、青色1号は食用青色1号のことで、ブリリアントブルーFCF (Brilliant Blue FCF) という名称。
黄色4号と青色1号を混ぜることで緑色に着色。
本ワサビの色を再現するために使用。
この着色料を企業によっては紅花色素、クチナシ色素等の天然系着色料で代替することもあります。
一概に化学的に合成されて製造された食品添加物が悪いとは言えないが、できれば添加物は使わない方が嬉しいものの、品質をできるだけ一定に保つためにはいくつかの食品添加物は必要かもしれません。
これは好みの問題なので、気になる人はじっくりと原材料表示を比較して購入すべし。

 ところで、前段で生わさびの生産量は根茎で599トン、葉柄は1,481トン(2018年)と紹介したが、加工ワサビの製造量は年間17,000トン以上ということで、圧倒的に加工品がメイン。
加工わさびは3種類あり、「粉わさび(感想粉末)」「ねりわさび(調整加工)」「おろしわさび(生使用)」。

加工ワサビには「本わさび」と称するEutrema japonicum(別名Wasabia japonica)と「西洋わさび」と称するArmoracia rusticana(ホースラディッシュ,ワサビダイコン,レフォール,山わさび)が混ぜられることが多い。
本わさびは風味がよく、西洋わさびは辛みが本わさびの1.5倍あり、それらの良いところ取りで練りワサビが作られています。
ちなみにおおよその含有比率を知るには以下の表示を確認すること。

本わさび入り」と書かれているものは、本わさびの使用率が50%未満
本わさび使用」と書かれているものは、本わさびの使用率が50%以上

ということで、風味を大事にする本わさび派ならば「入り」を、辛みを重要視する方は「使用」を確認して購入すれば良い。

 西洋ワサビ(アブラナ科トモシリソウ属)は鼻にツンとくる刺激があり、混入がすぐにわかる。
明治初年に導入された北海道では自生するほど、ホースラディッシュの生命力は強い。
↓ 北海道の山わさび売場

 加工ワサビに使われる西洋わさびは、低価格な海外産を使うことが多いが、我が愛知県の金印製品は原材料の西洋わさびも国産にこだわっています。
これは立派ですね。さすが名古屋のメーカーです。

チューブ入りの練りワサビを最初に販売したのはエスビー食品。粉ワサビの風味を維持するために香料を添加。そして常温保存ができるようにしたのがヒット理由。
その後、本わさび入りや本わさび100%の商品も世に送り出している。

 前述の金印では1970年代に超低温すりおろし製法(マイナス196℃)を開発し、酵素反応を止めて風味の劣化のスピードを抑えることに成功。

加工ワサビにおいても、生のような、辛み・風味・甘み・うまみを出すことができる製品開発が現在も続けられています。

↓ 金印生すりわさび無着色(国産本わさび)

↓ 金印 おろし本わさび安曇野産

↓ 万城食品(静岡県)本わさびあらぎり

↓ 万城食品(静岡県)伊豆天城産 生わさび

↓ 田丸屋(静岡市)あらびき沢わさび

 

↓ マル井(安曇野)本わさび使

↓ 釜正(愛知県岡崎市)の刻みワサビ

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