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からすみを食す(「凪水産」と「自家製」)。残念ながら「美鈴」さんのからすみは諦める。“トド級唐墨ボラ”のことも少しだけ思いだす。(三重県熊野~尾鷲~紀北~志摩までの話)

 「からすみ」・・・ボラの卵を塩漬けして天日で干したもの。
簡単に言うとそれだけなんですが、その工程の工夫や手の加え方で高級珍味となる。

 もう少し、工程を分けて説明します。
1. ボラの腹子を取り出し、水洗い
2. 血管を処理する(血抜き)
3. 塩漬けする(約1週間)
4. 漬け樽から取り出し、水洗い。
5. 少量の塩を入れた塩水を入れて40時間おく。
  (塩抜き)
6. 水を数回取り替える。
7. 板にボラの卵を並べて、その上に板を重ね置く
8. 日中は天日で、夜間は板を上に置き保管
9. 卵の表面に浮き出る水分・脂を丁寧に拭き取る
10. 上記8~9を繰り返して10日~14日後完成。
(時間・日数はまちまちです)

 長崎県では野母崎産が有名。三重県では尾鷲や紀伊長島産でしょうか。
台湾では「烏魚子」、イタリアでは「ボッタルガ」。
食彩賓館が食べたことがあるボッダルガは地中海フーズのもの。某ご婦人方にスパゲティのレシピを教わり、ちょいと作ってみたのですが、思ったような味にはならず。後日、ホンモノのボッタルガ スパゲティを食べさせていただき、納得した次第。
「カラスミと水菜のスパゲッティ」by ochiai
(ウニパスタの作り方の動画付)
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 さて、実食したのは、道の駅マンボウで購入した「凪水産のからすみ」。
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16g入り980円。100gあたり6,125円。比較して良いのかどうかわからないが、松阪牛の2倍以上の単価。
道の駅マンボウの売場には箱入りから真空パックされたものが販売されています。価格は一腹4000円~12000円。
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実は、「割烹の宿 美鈴」さんのからすみを購入したかったのですが、一腹5,000円~ということで諦めることに。
以前、購入したギョルメ舎フーズさんのからすみもある。同様の少量スライスを販売しているのはギョルメ舎と凪水産の商品のみ。
スライス商品で比較すると、両社の違いは“色”。よりべっこう色になっているのが凪水産。ただし、血管の処理をきちっとされているのはギョルメ舎フーズ製品。
まだ未食の「凪水産」を購入。
最初はそのまま食べる。口の中になんともいえない香りが広がる。バーニャカウダとも違う、魚特有の臭みというか豊饒な香りを堪能。
次は少し炙って食べてみた。さらに豊饒な香りと味が口の中に広がる。うまいっ。
ちなみに、凪水産のからすみはオークワ社のギフトでも扱っているようです。

●凪水産
三重県北牟婁郡紀北町紀伊長島区古里1001-3
℡0597-46-2121
↓ オークワ舎ギフト商品と天日干しの様子
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●割烹の宿 美鈴
三重県北牟婁郡紀北町紀伊長島区三浦297-4
℡0597-49-3031
美鈴さんのからすみは絶品です。べっこう色の具合も良いのですが、血管の除去が徹底していることが特徴。
是非、一度は実食していただきたい逸品です。

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↓ 美鈴さんのカラスミ(夕食で出されたもの)
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 さて、紀伊長島のからすみに対抗するのは、食彩賓館の知人の板前さんが自店で使うために作ったからすみ。
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小さいサイズながら色は「べっこう色」に仕上ってます。これだけで630円はお値打ち。
気になるのは血管が少し残っていること。これを完璧に除去する技術があると美鈴さん並の商品に少し近づくかも。
少し、塩辛いのも気になる。実食しないとわからないものですね。
やっぱ餅屋は餅屋、船は船頭、馬は馬子、刀は刀屋、スーパーマーケットは食彩賓館ですね[E:coldsweats01]。
でも、630円でからすみを味わえることには感謝。けっこうイケます。

紀伊長島に関する記事のリンクはこちらにあります

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  ところで、釣りに凝っていた頃(20年近く前)、尾鷲市の賀田にある「曽根」という場所で数回釣りをしたことがあります。
関連記事2009/3/31国道311号線ドライブ
静かな湾内で、しかも道路のすぐ側のイカダで釣りをするのですが、狙いは「チヌ(クロダイ)」しかも年なし(50㎝オーバー)。目を凝らすと20m近い深さのほぼ中間の位置くらいまでに年なしサイズがウジャウジャ[E:lovely]。
でも釣れるのは30㎝~40㎝ばかり[E:weep]。
そういえばでっかい真ダコや真鯛も釣ったなあ。ここで釣った魚の美味しいことといったら。
という、楽しい一日の釣りが終わった後、渡船で帰る途中の賀田湾の夕暮れの景色が素晴らしいのです。
静かな湾内に夕日が映え、小舟が家路に帰る中、一斉にボラのライズ(ジャンプ)が始まる。ボラと他の魚のライズは違います。ボラは真上にジャンプします。
ただのボラではありません。“トド”と呼ばれる50㎝以上の「カラスミ(唐墨)ボラ」。
“トドのつまり”と表現される“トド”は60㎝サイズ程まで成長します。
そのトド達が大ジャンプを繰り返す。見ごたえありますよ~[E:up]。
↓ 2009年3/22昼に撮影した賀田湾
20090322143 20090322106
↓ 時期不明。イカダから漁礁となっている鉄塔を撮影
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↓ 上記と同じ場所を道路側から写す(2009年)
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 釣り人はボラを嫌います。特にカセやイカダの短竿で釣りをしている時に間違えて、ボラを引っかけてしまうと、そこら中走り回って場は荒らすし、仕掛けはぐちゃぐちゃになるしで大変なことに。50~60㎝級のボラの引きは“肘たたき”どころか腕たたき[E:bearing]。
その嫌われるボラを中心に狙うグループが近くのイカダにいると、まったく釣れなくなるほど、このボラ釣りは賑やか。
彼らはボラではなく、ボラのお腹の“お宝”狙い。
そういったボラの腹子だけではなく、堤防からのカゴ釣りでボラを狙う地元人も多い。
20090322014 20年以上前の話。熊野市の新鹿(あたしか)で亡父と一緒に堤防でのんびりと糸を垂らして釣りをしていたら、地元の人たちがやってきて、ボラを釣りだした。釣り上げるたびに各自、持参したまな板を取りだし、包丁で頭を落とし腹(卵は入ってません)を手で引っ張り出す。頭と腹はそのまま堤防の下の小魚やカニのエサになり、身だけをクーラーに入れて持ち帰る。
20090322013その場で臭いの元となるものを捨てて行くのだか、もともとボラ自身が臭い。さらに河口のボラはエサや環境の関係で身まで臭いが染み込んでいる。とても刺身じゃ食べたくない魚。
これが、尾鷲~熊野の方面で獲れるボラは美味なんです。皮はさすがに臭うが、身は淡白でさっぱりとしていてグッド。
もっとも食彩賓館はボラの体臭が苦手で、釣りあげてしまったら、即、海に戻します。
 ボラが集まりだすと、周りにチヌが潜んでいると良く言われます。チヌ師はこのボラのアタックを上手に利用。ダンゴの濁りでチヌを安心させて大型チヌを誘います。
下手チヌ師だった食彩賓館でも、アケミ丸貝のエサの時のボラのアタリはわかります。穂先が
ピコピコ上下する。ボラがアケミを吸ったり出したりしていると思っていますが、たまに何かの拍子でハリが口や背中に引っかかってしまうと前述の大格闘。
時々、ボラかなあと思って適当にあしらっていた時、あまりのしつこいアタックに根負けしてついつい合わせをくれてやると釣り上ったのはチヌだったという情けない経験もあります。
さらに、困ったことに、水深20mほどの場所でトドを釣ると、水深10mまでは下にグイグイと猛烈に引っ張る動きをする。チヌとの違いは首を左右に動かす動きがないこと。でも、「もしかすると」と思いながら、丁寧にやりとりしていて、水深が上がってきたら、横にグィーンと走り出す。「あ゛~」と思った時はもう遅い。竿が折れないかと心配になるぐらいの大暴れが始まる[E:crying]。
↓ 50㎝級のトド(志摩の英虞湾のカセにて)
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↓ 30㎝級のチヌ(タモのサイズで比較してください)
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↓ とりあえず、チヌだけキープ(笑)
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関連記事2008/6/20釣りと労働