★食べログ記事をアップしました↓
・連泊して朝食2回,夕食2回。バイキングと和食膳。大量調理施設としては上々の部類。月夜野紅葉鱒,上州地鶏,上州牛,マタギ汁。水上高原と尾瀬のお土産も購入
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水上(みなかみ)高原。
東京からならば新幹線で上毛高原駅まで66分。駅からホテルまでシャトルバスで60分。計2時間少々。
ところが愛知県から向かうと結構な時間がかかる。
当日は名古屋駅から「特急しなの」に乗車し、途中、塩尻駅で観光バスに乗り換えてホテルに直行。
電車が2時間、バスが4時間の合計6時間乗車という途方もない時間をかけて移動するのは高速異動手段がないためとツアー参加料金低減のため。
愛知県から距離ではなく時間的に遠いのが尾瀬や谷川岳。なかなか気軽に行ける場所ではありません。
翌日は尾瀬散策で、当ホテルに連泊後、谷川岳一の倉沢を眺めて6時間かけて名古屋に戻る行程。
それでも旅行期間は快晴に恵まれ景色も堪能し、撮影も快調。良い時間を過ごすことができた。
★水上高原上の原温泉,水上高原ホテル200
水上高原ホテル200(トゥーハンドレッド)
水上高原リゾート株式会社
群馬県利根郡みなかみ町藤原6152-1
℡0278-75-2222
水上高原は群馬県北部のみなかみ町にある。2005年に利根郡月夜野町・水上町・新治村が合併し、「みなかみ町」となりました。
温泉地水上温泉郷は谷川岳南麓一帯に広がる温泉で「みなかみ18湯」と称されている。
温泉好きの人たちにとっては「法師温泉」「宝川温泉」「猿ヶ京温泉」が人気の筆頭か。秘湯(ひとう)だけに(#^.^#)。
今回はツアー会社御用達の水上高原ホテル200に宿泊。
このホテル、意外と良いのです。
ラクジュアリー過ぎずチープ過ぎず。そこそこ良いのが心地よい。いわば“オーディナリー御用達”。庶民のリゾートホテルです。
今回の記事も温泉と食事の話。
まずは気になる温泉の話。
ホテル内に大浴場と敷地内に別棟の入浴施設「凛楽(りらく)」がある。
★ホテル内 大浴場
源泉名 水上高原上の原温泉2号泉
泉質 アルカリ性単純硫黄温泉(低張性アルカリ性高温泉)
pH値 9.3
源泉湧出地はホテルと同じ住所。すなわち敷地内。
源泉地から近いということは源泉の温泉分析表とほぼ同じ成分(ガス性のものを除く)が期待できるということ。
温泉名人、温泉観光士、温泉ソムリエ分析書マスター(温泉ソムリエの上級資格)の資格勉強で得た知識で当ホテルの温泉分析表を読んだ感想を以下に記す。
まずは前述の通り、源泉地が近いということで、離れた場所から引湯する温泉よりも成分劣化が少ないことが予想される。
そして、何よりも源泉湧出地の泉温が46.6℃ということで、加温や冷却をしなくとも入浴に適温である40℃~42℃の温度になるようにほぼ無加工で注ぐことが可能。
この適温の源泉というのは非常に価値があります。
ただし、湧出量が68.3リットル/分ということで、総客室数220室という施設の規模に比して量が少し物足りないのが気になる。
一般的に経験則的なデータとして、清潔な状態で入浴できる目安は1人あたり1リットル/分の湧出量が必要とされている。
この大浴場に使っている水上高原上の原温泉2号泉の湧出量では大浴場の規模や宿泊人数に見合った温泉運用が難しいと推測する。
そこで、どう対応するかというと、浴室掲示の通り「放流・循環ろ過併用式」ということになる。
放流は「かけ流し」のこと。
循環ろ過は一般的な入浴施設で行われている繰り返しお湯を循環させながら汚れた湯をろ過・消毒して再利用する運用方法。温泉成分に影響を与えるので温泉好きにとっては良くない印象を与えるが、資源の有効活用や浴槽の衛生環境、入浴状態を整えていることも知っておかなければいけないと思う。
大浴場は少ない源泉湧出量をカバーしながらも、「かけ流し」を演出する運用方法で、比較的衛生的な環境で気持ちの良い入浴をすることができます。
とろろで「源泉かけ流し」表示に対して「この表示をしている入浴施設では、地表に湧出された状態の温泉がそのまま浴槽に注がれていて、注いだ温泉量とほぼ同量の量の温泉が排出され、それを温泉に再利用することはない」と誤解している人が多い。
地表に湧出した温泉が源泉分析表の成分を“ほぼ”維持したまま浴槽に注がれるのは、全国でも数えるほどしかないとされる、いわゆる「足元湧出」の温泉施設しかない。
「源泉100%かけ流し」と表示している施設でも、冷却に時間をかけたり、熱交換(影響は加水よりも少ない?)して適温に冷却したり、塩素消毒を義務付けられていたり(例外自治体あり)して、源泉に人的な加工をしていることもあったりする。
「高温の源泉を冷ますための加水だったら“源泉かけ流し”と表示しても良い」とするケースもある。
時折、「私は源泉かけ流し温泉しか行かない」という人に出会うが、入浴した温泉の話をすると、温泉の運用や温泉分析書の表示、一番大事な浴槽の排出口確認や投入量と排出量の確認をしていないことが多い。
話が長くなるのでこの話はこのあたりまでにして、以下、TMGPの温泉記事を参照願います。
・“本物の温泉”説に対する自説温泉考
泉質はどうでしょうか。
温泉分析表の成分を見ると、最大の特徴は「pH値 9.3」でしょうか。水素イオン濃度(p.H,)が10以上が“強アルカリ”で、当温泉の9.3はアルカリ性の温泉としては水素イオン濃度数値が高い温泉であるといえます。
ホテルのホームページでは“ペーハー”と紹介されているが、現在の「p.H.」の読み方は昔習った“ペーハー”ではなく、“ピーエイチ”に統一されているので要注意。
参考記事↓
・“p.H.”を「ピーエイチ(ピーエッチ)」と読むか「ペーハー」と読むか。「ピーエイチ(ピーエッチ)」と読まないと若者には通じない?。
アルカリ性の温泉は成分総量が低いことが多く、当温泉も温泉基準値や療養泉基準値の1,000mg/kgを下回る400mg/kgということで、かなり成分薄目の温泉。
もちろん、成分総量が少ないからといって温泉の価値が低下するかというと、そうとも言い切れないのが温泉の面白いところ。
成分はどうかというと、大浴場と露天風呂では同じ源泉(水上高原上の原温泉2号線)を使っているが温泉分析表のデータに違いがあります。
これは非常に面白いケースなので温泉好きは要注目案件。
まずは大浴場。
大浴場からの景色も良く、加水と加温した温泉水を放流式・循環ろ過併用で、浴槽の見た目的には放流式演出で温泉に詳しくない客に喜ばれる運用。
湧出量が68.3リットル/分ということで、施設の規模に比して少ないように思われるため、加水加温と循環ろ過併用は浴槽内の衛生状態を高度に担保するための施設側の配慮と思うことに。(#^.^#)
400mgという比較的低めの成分総量ながらも温泉基準値を超えている成分としては、温度とフッ素イオン,メタケイ酸。
それでも泉質表示ができるのは療養泉基準値を超えている「源泉温度」に加えて、「総硫黄」が私の計算では2.6mg/kgあるため。
※総硫黄は温泉分析表のデータから自分で計算しなくちゃいけません。
・総硫黄=硫化水素イオン×0.970 +チオ硫酸イオン×0.572 +遊離硫化水素×0.941
この総硫黄成分と源泉温度のおかげで療養泉として泉質名が表示できるようになります。
泉質名は「アルカリ性単純硫黄温泉」。
単純温泉ながらも硫黄泉の場合、成分薄目にもかかわらず温泉入浴気分としては上々で、私的にはお気に入りなタイプの湯。
なんにしても気持ちの良い温泉です。
ぬるぬる感はさほどではありませんが、p,H.9.3ということと、メタケイ酸53.1mg/kgによって美肌効果も期待できますね。
↓ 浴槽内は撮影禁止のためホテルHPの画像です
そして、メインイベントの屋外露天風呂入浴。
カギ付きで宿泊者しか入浴できないように、チェックイン時に別途、手渡されます。
残念だったのは「朝5時から」という案内を信じ込んで、早めに到着したものの、朝5時になるのをしばらく待って、5時ちょうどに鍵を開けて中に入ったらすでにルール違反(?)の先客5人。
一番風呂の誰も入浴していないお湯に浸かるのが目的の早起きだったのに残念。
●凛楽(りらく)
泉の利用形態放流式(加温・加水)
営業時間グリーンシーズン
14:00~24:00 / 5:00~11:00
ウィンターシーズン
14:00~23:00 / 7:00~11:00
この露天風呂からの景色がバツグンで非日常感を味わえる素晴らしいお風呂ですが、私の興味は温泉分析書の表示の方が気になる。
なんと温泉分析書は「源泉」ではなく「浴槽」に○印がついている。
浴槽の分析書が掲示されているのを見たのは50年以上に及ぶ長年の温泉入浴体験では数例目です。
本来ならば、源泉の分析書と実際に入浴する浴槽の両方を表示していただけると嬉しいが、ほとんどの施設は源泉分析書のみしか表示されていません。
※「療養泉」と施設に表示する場合は浴槽の湯が基準値を維持していることを確認した上で表示する必要がある(環境省:温泉表示の注意点及び公正取引委員会温泉表示問題に対する公正取引委員会の取組より)。
これは嬉しい。
一番の注目点はホテル内の大浴場と同じ源泉なのに泉質表示名が「アルカリ性単純温泉」になっていて、大浴場の「アルカリ性単純硫黄温泉」から“硫黄”が抜けている。
温泉分析書の成分では大浴場の分析書に表示されていた「硫化水素イオン」「チオ硫酸イオン」の数値が屋外の凛楽(りらく)の浴槽温泉分析書には表示されていない。
これは私的に非常に面白い。なぜ硫黄成分が消えたんだろうかを想像する楽しみを与えてくれた。
※この部分、他県の分析登録機関の知人に問い合わせたところ、「アルカリ性の温泉では源泉に含まれる硫黄成分が浴槽では検出限界以下になることがある」ということでした。ガス成分でなくとも消失するということは、内湯も同様ではないかという疑問が・・・。浴槽の成分分析は客側にとってはありがたいが、施設側にとってはちょっと厳しい結果となるため表示しない施設が多いにも関わらず、当ホテルの姿勢は立派です。
また、「加水・加温」の表示もきちんと表示されている。
宿の方へ問い合わせたところ、加温と加水は外気温の影響を受けやすい屋外入浴施設であるため、入浴に適するように加水と加温を施しているということです。
運用は「放流式(かけ流し)」です。
大浴場同様に、非常に気持ちの良い温泉ですが、今回は温泉分析書の方に興味深々といった入浴体験でした。
↓ 源泉と露天浴槽の成分比較(TMGP作成)
↓ 浴槽内は撮影禁止のためホテルHPの画像です
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最後は食事。
連泊なので朝2回、夕2回の実食。
まずは初日の夕食。
1階の「白樺ダイニング」でバイキング形式の提供。
当方、バイキング料理は苦手なんですが、当ホテルは結構、メニューも大量調理施設的ではなく、地域の食材や「マタギ汁」などの郷土料理など工夫を凝らしているだけでなく、デザートも豊富で、スイーツ好きの動向パートナー(妻)にも好評。
2日目の夕食はバイキングではなく和食膳。
★水芭蕉和食膳
地元食材である「月夜野紅葉鱒」、「上州地鶏」、「上州牛」を使っているのが好印象。
いずれも初実食なのでありがたいが、味的には他の産地の同等クラスと比して差異化感はイマイチ感じることができなかったのは残念。
料理としてはグッドでした。
水芭蕉をイメージした小鉢皿も良い感じ♡。
朝食は1階の「白樺ダイニング」と11階の「レストラン谷川」を選択できたので、最初は眺めの良い11階のレストラン谷川を選択。
出発日の朝食は11階に比べて比較的空いていそうな1階の「白樺ダイニング」を選択。
メニューもそこそこあり、朝食からライブキッチンも実施していて、なかなか好印象の部類といった印象。
こういった団体食料理は苦手なんですが、今回は食事量をいつもより多めに摂ることができました。
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水上高原ホテル200(トゥーハンドレッド)
(水上高原リゾート株式会社)
群馬県利根郡みなかみ町藤原6152-1
℡0278-75-2222
★売店購入品
↓ ホテルHP画像より
◇2023年6月群馬県尾瀬~谷川岳
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◆温泉に関する記事(TMGP及び食彩品館.jp)
・2024/03/24水上高原上の原温泉,水上高原ホテル200宿泊記。源泉の温泉分析表と浴槽の温泉分析表のデータが違う件。
・2024/02/03杏林堂大学井の頭キャンパスで温泉観光士(日本温泉地域学会)講座2日間受講し認定試験合格。温泉ソムリエ,日本温泉名人認定との比較。
・2023/10/15・頑執妄排と本然。温泉の“本物”と“偽物”について考察。老舗旅館の「本物の温泉」説明に違和感。温泉利用形態は「源泉未加工で自然湧出+足元湧出」「源泉未加工で掘削自噴・動力揚湯+引湯」「源泉加工-1(自然冷却・熱交換)」「源泉加工-2(加水・加温)」「源泉加工(循環ろ過+消毒)」いずれも、温泉法第二条に該当していれば“本物の温泉”です。「本物」ではなく「本然」とすべきでは。 ・2023/08/17温泉分析書マスターが語る。“p.H.”を「ピーエイチ(ピーエッチ)」と読むか「ペーハー」と読むか。「ピーエイチ(ピーエッチ)」と読まないと若者には通じない?。
・2023/02/22東北秘湯4日間復路欠航顛末記 (不老ふ死,谷地,酸ヶ湯,新玉川,乳頭温泉鶴の湯)
★・2013/05/04 湯の峯温泉 世界遺産登録の温泉「つぼ湯」入浴。川湯温泉、渡瀬温泉(和歌山県田辺市) 本宮温泉郷。その他周辺の入浴済み温泉施設(龍神温泉、十津川温泉、湯ノ口温泉、入鹿温泉、上北山温泉、小処温泉、南紀勝浦温泉ホテル中の島) ・2013/01/03下呂温泉露天風呂(岐阜県)
▼東北
・酸ヶ湯温泉 2023/01/30~01/31
・谷地温泉2023/01/30
・大鰐 島田温泉 ・岩手 八幡平温泉 ・仙台秋保温泉 ・十和田湖蔦温泉
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・道後温泉椿の湯2023/02/11
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▼九州
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