小川港魚河岸食堂(静岡県焼津市小川〔こがわ〕)焼津漁港の小川港で焼津港の地中海産解凍本まぐろの丼（限定10杯）をいただく。産地市場休市の時の食材の選択について語る

　焼津市には「焼津魚港（焼津港と小川（こがわ）港）」と「大井川魚港」　があり、焼津魚港には全国トップの遠洋漁業（冷凍カツオ・冷凍マグロ）水揚げ地である「焼津港」と、沿岸・沖合漁業（さば・いわし・あじ等の多獲性魚）の水揚げが主である「小川港」があります。
もう一つの「大井川魚港」は駿河湾名物の桜エビやシラスが水揚げされていて、全国的にも特異な存在感がある漁港都市です。　

　さて、焼津魚港といえばマグロ・カツオの遠洋漁業のイメージがありますが、焼津漁港でも焼津港の西側にある小川港では前述の通り、沿岸漁業や沖合漁業がメインで、特に沿岸漁業では定置網漁・一本釣り・刺網漁により獲れた駿河湾の地魚が豊富に水揚げされます。

　ここまで書くと、古くからの食彩品館.jp記事愛好家はすぐにピンとくると思います。
そうです。産地市場にはそれぞれの得意分野があり、焼津港は遠洋漁業で獲れた冷凍本まぐろであり、小川港ではアジ・サバ・タチウオ等の地魚が得意であるということをインプットしてから食べる場所や魚種を選択しないと、せっかく産地まで来た甲斐がないということをいいたいがための前書きです。

　実は訪問当日は土曜日で小川港は市場休日。朝市だけでなく、夕市もある小川港ですが、産地市場なので消費地の中央市場が休みになる前日が産地市場である小川港は休市になります。
休市ということは小川港自慢の地魚の入荷がないということですが、心配ありません。前日に調達し、仕込んだ新鮮な地魚を食すことができます。
前日とはいえ、本来ならば食す日の朝、中央・地方各市場で競りにかけられる魚でなので、それで充分なのですが、せっかくなので焼津漁港特産の「瀬付きサバ (駿河湾河口の相の瀬や小台場で獲れ、深青緑色の肌に“く”の字の鯖紋が目印)の大型魚」を食したいというのが当日の希望魚種。
前述の通り、小川港は沿岸漁業中心の港で主力商品は「サバ、アジ、タチウオ」。特にサバについては秋に開催される小川港さば祭りが盛況。約1万食分が振舞われます。
期待に胸を膨らませて店に向かいます。
休市なので、魚市場で働く人々、仲買や買参人（ばいさんにん）の利用が少なく、さらに地元周辺の方々も当日が市場休日であることを知っているので来店客は少ないのです。
もちろん、営業時間も短い。

◆メニュー全体　20150411小川港魚河岸食堂20150411メニュー (27)

◆刺身メニュー　20150411小川港魚河岸食堂20150411メニュー (4)

　メニュー表示が写真付でわかりやすい。尚且つ、お勧め案内を兼ねているメニュー番付もあります。じっくり品定めして焼津ならではの魚種を使ったメニューを探す。

◆メニュー番付　20150411小川港魚河岸食堂20150411メニュー (1)

　鯖がありました。でも「瀬付の鯖」の旬は秋から冬なので、4月としてはちょっと遅いし、メニューには詳しい説明が書かれていないので写真の鯖煮のサイズから普通の鯖と推測。
それではそろそろ旬を迎える「地付き鯵」はどうか。こちらも表示がないため普通のアジと推測。
それではマグロでもということで、産地市場食堂ならではのメニューを探すと、やっぱありますねぇ。いろいろあって迷います。

どうしょうかと思って迷っていると、券売機の前に「本まぐろ丼」の表示。限定10食で券売機には売り切れ表示がありません。

◆厳選メニュー　20150411小川港魚河岸食堂20150411メニュー (4)

◆メニュー案内　まぐろと休日と価格　20150411小川港魚河岸食堂20150411メニュー (7)

でも、どんな本まぐろなのかわかりません。メニュー写真が掲示されている壁に「天然まぐろのみ」と表示されていることと、遠洋漁業の焼津港なので冷凍であることは想像できます。
せっかくなので、産地の得意魚種を選択しょうということでこのメニューに決定。写真通りのネタであればまずまず満足の逸品になることでしょう。

□パンフ-メニュー　20150411小川港魚河岸食堂 (8)

　券を購入して食堂の中に入ると12時少し前なのに席が空いています。やはり市場休日の食堂営業日ということですが、前述の通り、冷凍本まぐろならば市場休日も関係ありません。遠洋で漁獲後すぐにマイナス50℃で冷凍されます。ある意味、新鮮。
　食券を窓口で出すと番号札を渡されます。その時に酢飯にするか普通のご飯にするかを問われたので「酢飯」を選択。
席でしばらく待っていると客数も少ないのですぐに呼ばれました。でてきた料理がこちら。

　おおっ。見た目が本まぐろ(笑)。清水港で食したピンク色の本まぐろ（・2012/09/12みやもと(清水)本ﾏｸﾞﾛとろ丼(静岡)）ではなく、発色も良い。赤身が若干、解凍が間に合わなかった感があるものの色は良い。
これだったら本まぐろを食べているという満足感がある。尚且つ、写真とほとんど同じ。さすが市場食堂です。オネスティな運営をされています。

　味は解凍直後ということもあり、もっちり感や旨味を感じるほどではありませんが、悪くはありません。2,000円という価格を考えれば充分、満足です。
遠洋漁業メインの焼津漁港に来て「国産生本まぐろ?」とか質問する人はいないと思うし、産地市場の食堂に来て産地の質問をするようなヤボ（普段使いの人は時期や水揚げ具合から聞かなくともわかるだろうし）はしたくなかったのですが、食後に膳を戻すついでに食堂の方に伺うと「地中海産」ということでした。

　よって食したのは「地中海産　天然本まぐろ（解凍）」の赤身、中トロ、大トロの丼と推測。できれば産地とかの説明を最初から券売機のところに表示しておいてくれると嬉しいのですが。

===========================================
●小川港魚河岸食堂
静岡県焼津市小川3392-9
℡054-624-6868
営業時間7:00〜14:00（土曜日は10:00より）
定休日なし（年末年始・夏季を除く）